こんな時は家で映画でも〜「女経」
wow wowで録画したのと、Amazon prime videoで、テキトーに選んでいるのとで、何だか種々雑多なフィルムが続いています。
西部劇と時代劇がないのは、夫はどちらも好きなのですが、わたしはあまり好きではなく、二人の好みが重なるものを選ぶと、こういう結果に。時代劇はものによっては好きなので、機会があれば…「幕末太陽伝」などは大変好きです(あまり時代劇らしくないか)。
さて、今回は大映。
大映といえば、豪華女優陣。
「女経」(じょきょう)
1960年公開
監督と出演者の組み合わせは、写真の通り。
しかしまあ当時の大映はいい女優さんを、惜しみなく使えていたのね。
監督の名前を伏せて見ても、それぞれの作風が違って、すぐわかります。
上映の順番も写真の上から増村、市川、吉村。
吉村は「恋を忘れていた女」京マチ子、ちょい役ながら中村鴈治郎、根上淳で。
3人の中で、わたしは増村が一番好きなのだけど、このオムニバスでは二本目の市川崑の作品のインパクトがすごい。
何しろ、山本富士子と船越英二の組み合わせが、もうキモチワルイ。
と先走ったけど、まずは増村保造。
1960年ごろは、まだ「ダルマ船」という船で生活する水上生活者があったらしい。その船のノンベエ親父の娘、若尾文子が、何としても貧乏暮らしから抜け出たくて、美貌を武器に、ナイトクラブの客を手玉にとってお金を稼ぎまくっていたけど、金持ちのボンボン川口浩に恋をして、結局きっぷの良さを見せ、別れて終わる。
増村らしいスピード感で、若尾文子のドライな美しさを際立たせています。
こういう役をやると、本当にうまいですね。
「赤線地帯」で既に凄腕の娼婦を演じていた若尾文子ですが、ここでも軽々と男を手玉にとって、最後は失恋なのかもしれないけど、めげることもなく前を向く。
二本目は前半は山本富士子と船越英二の2人だけで進められ、冒頭から怪しさ満載。
後半山本富士子の正体が割れてからは、怪しさは無くなってしまいます。始めの方の山本富士子の気味悪さは、浅茅が宿か?と思うようで、行き詰まった小説家という役の船越英二も、その怪しさに幻惑されるのをたのしんでいるようです。山本富士子が頭から抜けるような声を出すのは、良家の未亡人を演じていたからだけど、すごくヘンだった…
山本富士子は、あまり好きではないのですが、市川崑も流石に綺麗に撮っていて、作品としてはこれが一番印象深いものでした。
最後の吉村公三郎のは、京マチ子の京言葉と着物姿が美しく、ちょい役の中村鴈治郎が面白い。すごいですな、あの人。
京マチ子は、修学旅行向きの宿屋とかバーとか経営してやり手の女将で、1960年代の修学旅行って、まだお米を持ってきたのか〜なんてこともわかる。
修学旅行生の事故と、昔の恋人(お金が全てになってしまった原因)との再会と別れを通して、恋をしていた頃の感情を取り戻した女将が、煩わしく思っていた怪我人の修学旅行生や、いけずをしていた義理の妹にも親切になる。
最後に四条大橋の欄干にもたれて、髪を直す姿が綺麗です。
という、豪華な女優陣を堪能する映画でした。