こんな時は家で映画でも〜「クロッシング」partⅠ、Ⅱ
クロッシングpartⅠ、Ⅱ
ジョン・ウー監督
2014年に中国で公開された作品です。
cinera.netの記事をコピペします。
『男たちの挽歌』『レッドクリフ』『M:I-2』などの作品で知られるジョン・ウー監督がメガホンを取った同作は、3組の男女の出会いと別れ、愛の物語を、国民党と共産党の対立が激化した1945年の国共内戦を舞台に描いた作品。前後編で構成され、前編は戦争や時代に翻弄されながら愛を貫いた3組の男女を描き、後編では千人近い乗組員や乗客が犠牲になった上海発、台湾行の大型客船沈没事故「太平輪沈没事故」を軸に、客船に乗り合わせた男女の運命が交差していく。原題は『The Crossing』。中国で2014年に公開された作品となる。
3組の男女を演じるキャストには、中国、日本、韓国から俳優陣が集結。台湾国籍の日本軍軍医イェン・ザークン役を金城武、ザークンの幼なじみ・雅子役を長澤まさみ、出征した恋人を探すために従軍看護師に志願するユイ・チェン役をチャン・ツィイー、兵士のトン・ターチン役をトン・ダーウェイ、国民党の将校レイ・イーファン役をホアン・シャオミン、イーファンと運命的な出会いをするチョウ・ユンフェン役をソン・ヘギョが演じる。
ジョン・ウー監督は「中国と台湾両岸の想いを込めた作品を作りたいと思っていた」と同作に込めた思いを語っている。映画『グリーン・デスティニー』の脚本家であるワン・ホエリンの原案をもとに、総製作費76億円をかけて完成させた。
ジョン・ウーの「中国と台湾両岸の思いを込めた作品を作りたい」という意図は、描けていると思います。
ただ、「本省人」と言われる国民政府が敗走して台湾に渡る以前から住んでいた台湾人については、この作品ではその心象にはほとんど触れることはありません。
金城武演じるイェン・ザークンの家族は、本省人だろうと思いますが、ここでは国民政府と共に大陸から入ってきた中国人に対する感情などついては、描かれていません。むしろ、ザークンの弟などは、人民軍に共感して、台湾から本土に渡って行きます。
侯孝賢の「非情城市」で、メジャーな映画で初めて2・28事件が取り上げられ、公にも語られるようになったそうで、台湾においてデリケートな問題であるようです。
この作品は中国で公開されていますから、中国と台湾といっても、人民軍に敗れた日本軍と国民政府軍、という図式になっています。
それでも、こういう作品が中国で公開されるとは、以前なら考えにくいことではないかもしれません。
登場する台湾人も、国民政府の軍人も、日本人に対しても、同じ視線で描かれています。
同じように人を愛し、同じように生きようとし、同じように死んでいく。
映画の印象を一言で言うと、
partⅠは火攻め。
partⅡは水攻め。
前編の戦闘シーンは、さすがジョン・ウーという感じで、目を覆いたくなる惨たらしさ。
後編の「太平輪」沈没シーンは、「タイタニック」より怖いかも、と思う恐ろしさ。
命がいくつあっても足りないような戦禍の中を、ヒロインの一人、チャン・ツィイーは生き抜きます。
何しろチャン・ツィイーとソン・ヘギョがとてもきれい。
ソン・ヘギョの方は両家のお嬢さんから将軍夫人になった人だから、いつもきれいにしているのですが、ツィイーはいわゆる汚れ役で、散々な目に遭う中、文字通り体を張って生き抜きます。それでも、清純な容姿には陰りもなく、きれいでした。
長澤まさみも出ていますが、金城武の記憶の中だけに登場するので、前述の二人に比べると、印象は薄い。儚いけど激しい初恋の乙女、という感じ。
姑の命によりザークンと再婚させられそうになる兄嫁(兄は共産主義者として処刑された)の方が、印象に残ります。
結局通信兵だった男(彼も「太平輪」の甲板で半死半生だったのに、沈没するときには無傷のような頑張りよう)と、無一文のツィイー(オリンピックのトライアスロンに出られそうな体力で泳ぐ)だけが、生きながらえ、通信兵は将軍の命令を最後まで守って、夫人に遺品を届けに行く。
ついでに書くと、将軍の方は、スタイルにこだわる人なのか、前編ではちょっと嫌味でしたが、後編で国民政府の上層部にも見捨てられて、過酷な寒さの中耐えていたのに、ほとんど無駄死にのような気の毒な最期でした。あれじゃ、国民政府は負けるわ…
太平輪沈没事故で死者は1000人以上、生存者は34人(乗船名簿にない人で…タダノリ…救助された人を入れて50人くらいらしい)。
映画によれば、欲の皮の突っ張った商人により過積載となっていたらしく、その張本人も海に沈んでしまいました。チャン・ツィイー演じるユイ・チャンの弱みにつけ込んで、騙して遊んだので、ちょっとイイキミではあります。
というわけで、飽きずに2本、2夜連続で見てしまいました。