家で映画でも〜「ホワイト・バレット」
「こんな時は家で映画でも見ましょう」
が、タイトルだったのですが、だんだん略してきて「家で映画でも」って、ちょっと趣旨とズレてきましたが、まあいいや。
緊急事態宣言も一応解除されたし…と言っても、新型コロナウィルスがいなくなったわけでなし、世界を見ればブラジルなど1日に2万人以上の感染者が出たとか…
気をつけるに越したことはなく、うちのように存在自体「不要不急」のヤカラは、おとなし〜く過ごすことにします。
自宅待機のうちに宿題が溜まってしまった小学生みたいに、レヴューが全然間に合わなくて…
10本も待機中ですわ…
なんかもう忘れつつあるけど、とにかく。
ホワイト・バレット
ジョニー・トー監督
2016年香港・中国制作
「ザ・ミッション 非情の掟」「エグザイル 絆」などで、香港ノワールの巨匠と称されるジョニー・トー監督のサスペンスアクション。警察との銃撃戦により頭に銃弾を受けた強盗団一味のチョンが救急病院に搬送された。病院の女医師トンは、至急手術をしようとするが、チョンは人権を主張し、断固として手術を拒否していた。チョンから一味の情報を聞き出そうとするチャン警部は、強盗団の電話番号を聞き出すことに成功したかのように思えたが、それはチャンが仲間に連絡を取るためのワナで、チョンの奪還を狙う強盗団の魔の手が病院へと迫っていた。チャン警部役にトー監督作10本目の出演となるルイス・クー。女医師トン役に「So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ」で監督としての才能も評価されたビッキー・チャオ、チョン役をウォレス・チョンがそれぞれ演じる
(映画.com解説を借りました)
原題は「Three 三人行」
という通り、外科医トン、チャン警部、強盗犯チョンの3人が絡むお話です。
その3人と、外科病棟の患者精神科から転院してきたおかしな親父と、トンの手術が気に入らなくてリハビリもしないで怒鳴ってばかりいる若い患者などのエピソードが入ります。
女の脳外科医と言うと
「わたし、失敗しないので」
みたいなスーパーな人かと思うと、さにあらず。
トンはストレスに苦しみ、失敗もするし、また、チャン警部も勇ましいけどちょいと頭のいい強盗犯チョンに振り回されるし、そのチョンは脳に弾丸が入った状態で入院、目端が効いて悪賢いけど、結局一番必要なことをしないで自ら深刻な症状に陥るし、誰もスーパーな人は出てきません。
トン医師は早く手術をしてチョンの命を救うことを第一に考えるのですが、途中わかりにくい行動もとります。
チョンはベッドに寝ているくせに、トン医師を利用し警察を欺き、さらには隣のベッドの精神科からきた親父を巧妙に利用します。
この親父が面白いキャラで、どんな修羅場、銃撃戦の中でもお構いなしにご飯をかっこむ。
拘禁ベルトから抜け出て、散々悪戯をして、これが大混乱をもたらすことになるのに、誰も気がつかない。
もう一方の隣のベッドでは、トン医師の手術のおかげで麻痺が残った、恨んでやるの殺してやるのと大騒ぎする若い男がいて、こいつも大銃撃戦の最中に、車椅子から落ちて、なんと歩けることがわかるという、いかにもいそうなヤツ。
その脇役の二人は面白いのですが、メインのストーリーはイマイチな感じです。
トン医師もチャン警部も迷いのある普通の人と見れば良いのかも。
しかし、銃撃戦のあたりでは、二人ともさすがはジョニー・トー、というすごい働きをします。
ジョニー・トー監督のお約束という、銃撃戦はスーパースローモーションで、感傷的な香港ポップスが流れる中、患者が、警察官が、看護師が、医療器具が、食事が、なんだかんだが舞い踊る。
ここで死んでいてもおかしくなかったチョンは、結局トン医師により脳の手術を受けます。
ストレスに悩んでいたトン医師はこの大騒ぎによって、開き直ったのか、すっかりさっぱりした表情になります。
見ている方はそこまでスッキリしないのだけど、見せ場である銃撃戦と誰をどうしようか分からないような救出劇は、結構面白く見ました。