家で映画でも〜「知りすぎていた男」
最後の3本は、巨匠と言われる監督の作品です。
「偉大なるマルグリット」も面白かったけど、とりあえず安心のブランドを…
ということで、
「知りすぎていた男」
アルフレッド・ヒッチコック監督
1956年の制作
またどうでもいいことですが、実はワタクシ、ヒッチコックを特別好きでもなくて…
この作品もなんと初見です。
そして、ドリス・デイの歌う「ケセラセラ」が、この映画のテーマ曲だったと、今更知るという無知さ加減(恥恥)。
ぼんやりバレイを重ねていると、こうなるのです。


アルフレッド・ヒッチコック監督が1934年の自作『暗殺者の家』をセリフ・リメイクした、異国情緒豊かな巻き込まれ型サスペンスの傑作。ヒロイン役ドリス・デイの歌う「ケ・セラ・セラ」がアカデミー歌曲賞を受賞。
ストーリー
パリで行われた会議に出席した米国人医師ベン(ジェームズ・スチュアート)は、元歌手の妻ジョー(ドリス・デイ)と息子ハンクとモロッコを旅していた。ベンたちはバスの中でトラブルに巻き込まれるが、ルイという若いフランス人に救われる。お礼にベンがホテルの自室にルイを招待したところ、見知らぬ男が突然ドアを開け、部屋を間違えたと言ってあわてて帰って行った。翌日、市場に出かけたベンは何者かに刺されたルイと出会い、瀕死の彼から謎めいたメッセージを託される。
(CSザ・シネマの紹介記事を借りました)
ホテルのレストランでイギリス人ドレイトン夫妻と仲良くなり、翌日一緒に市場へ出かけると、フランス人ルイが瀕死の状態でベン夫婦の元にやってきて、メモをわたして生き絶える。
ベン夫婦は警察で事情を聞かれることになり、ドレイトン夫人に息子のハンクを預ける…
夫婦が警察にいるうちにハンクもドレイトンもいなくなり、電話がかかってくる、「息子を誘拐した」と。
ベンはモロッコの警察に事情を話すなんてことはせず、ハンクを取り戻すべく行動を開始…
あくまで元気な頃の積極的で自分のことはなんでも自分で解決するアメリカ人らしいベンと、時に夫よりよく気が付き、賢く美しい妻ジョー。
ドリス・デイが息子が心配で、涙を流すヒッチコック好みのシーンが何度もあり。
某国の権力争いにより、イギリスに滞在している首相暗殺計画があることをスパイのルイが突き止め、その計画の実行犯の居所をベンに託したのでした。
なんでベン夫婦なのか、ジョーも心配した通り、開けっぴろげになんでも自分のことを喋ってしまったので、こいつならやれるかもと思われてしまったのかと思うけど、どうも事前に調べたらしい…
ともかくルイに託された「アンブローズ・チャペル」を探しに、イギリスへ。
反政府グループは、自家用飛行機でハンクもイギリスへ連れて行った。
イギリスでは、ブキャナンという刑事が待ち構えていて、ハックの誘拐を知っていて、ルイのメモを教えろというのだけど、ベンは教えず、一人で息子を探そうとします。
「アンブローズ・チャペル」を人名と思ったハンクは不気味は剥製業者を尋ねるけど、不気味なだけでハズレ、ジョーがそれは場所の名前、礼拝堂だと気付き、一人で向かう。
ここからは、ジョーの方がよく働くような気がする。
ふつうチャペルといえば、礼拝堂だろうと思うけど、連絡をとれ、というルイのメッセージで人名だと思い込んだのか?
ともかく、行ってみると、ドレイトンが牧師になって説教してるし、妻だった女が管理人になってる〜神聖な場所をスパイのアジトに知るとは、ふてえ奴らだ。
とはいえ、教会を犯罪者やテロ集団が利用した映画は色々思い浮かぶので、ヒッチコックのこれが元祖でしょうか。
しかし、まだヒッチコックの頃は反政府集団も牧歌的でよかった。
ばれた、逃げろ、となった時、今時の映画なら、ハンク少年の命が危ないはずですが、手あらなことはせず、また嵩高くなるのにハンクは、某国の大使館へ連れて行かれます。
そしてアルバートホールのコンサートに、某国首相が列席、その場でモロッコで雇った殺し屋が、首相を狙撃する計画。
その計画を阻止したのは、ジョーでした。
首相と、演奏者とくにティンパニーとシンバルと、狙撃者と、ジョーの涙に濡れた顔とが、次々と映し出される緊迫のモンタージュ。
首相が狙われていることはその場ではジョーしか知らない。(ベンは教会で殴られて気絶)
ジョーは一番女性的な、簡単な解決法を選ぶ、それしかできなかったのだろうけど、彼女の悲鳴に驚いた首相が立ち上がり、弾丸は腕をかすめる。
暗殺から首相を守った女性として、ジョーとベンは大使館へ招かれる。
ジョーが有名歌手でよかった、大使館で歌を披露することになり、そのすきにベンが息子を探す。なかなか探しに行かないところがヒヤヒヤ。
ここでとうとうハンクも消されそうになるけど、ベンが救出する。
反政府集団が割と呑気だったので、ベンとジョーも子ども可愛さで太刀打ちできました。
警察があてにできないのはこの作品でも変わらず、イングランドの警察も、ブキャナンが事情を知っているのに、アルバートホールからブキャナンに通報したのに通じない、ことが解決してから到着した。
アンブローズ・チャペルから通報した時も、反応鈍いし。
クスッと笑ってしまうユーモアもヒッチコックらしく所々にあり、アンブローズ・チャペルのエセ牧師が、(ヤバイことになったので)説教をあっという間に切り上げて、瞑想が大事です、皆さんうちへ帰って瞑想しましょう、と何も知らない信徒たちを追い出してしまうところもおかしい。
「ケ・セラ・セラ」を歌うドリス・デイはヒッチコックのヒロインの中では割と庶民的な風貌かと思うけど、子どもを案じる母親と、きれいで堂々たる元人気歌手と同時に表現して、とてもチャーミングでした。