府中市立美術館「日本の美術を貫く炎の筆《線》」〜受付嬢は東京サポ。
秋晴れの爽やかな昨日、府中の森と、府中市立美術館へ行ってきました。
ステイホームで籠っていた時に、外に出かけられるようになったら、感染リスクの低い多摩地区周辺で、どこか行くところはないかと調べて、府中市立美術館もリストアップ。
その後体調を崩して心ならずも、病院と家に籠る羽目になり、このところようやく良くなったので、出かけました。
美術館のある府中の森公園には、一度郷土の森と間違えて行ったことがあり、また府中の森芸術劇場にも姪っ子の出演する舞台を見に行ったことがあります。
でも美術館には行ったことがなかったというか、存在も調べるまで知らなかった。
公園は、市民の憩いの場という感じで、中に小ぢんまりした日本庭園などもありますが、わざわざ電車で訪ねるのも〜という感じ。
でも、武蔵野の林は秋の色に染まって、趣がありました。
なぜか所々に丸い古墳みたいな低い丘があり、真ん中にかなり広い丸い芝生の丘があって、小学生の一団がお弁当を広げていました。
美術館は武蔵野の森を抜けて、今は水のない水遊び場の向こうにあります。
思ったより立派な建物。
主な所蔵作品は牛島憲之の遺族から100点ほど寄贈されたもので、牛島憲之記念館という名前でもあります。
といってもわたしはその人の名前を初めて知ったのだけど。府中の人ではないけど、よく府中にスケッチに行った縁で、遺族が作品を寄贈されたのだそうです。
主な作品は出張中でしたが、2、3の絵を見たら坂本繁二郎っぽい柔らかな色調で穏やかな印象の作品でした。
展覧会は「日本の美術を貫く炎の筆《線》」。
なかなか面白い視点だと思う。
まず入ると、手指の消毒と体温チェックはどこも同じ。
そして、受付で氏名と連絡先を書くのも感染対策。
わたしが用紙に記入していると、リュックにつけたドロンパのしっぽ(丸いバージョン)を見つけた受付のお嬢さん、それを指差して
「FC東京!」
わたしが「ええ、明日試合ですね。」と言うと、
「わたし行きます!」
「わたしは体調を考えて、残念ながら行けないけど、わたしの分も拍手してきてください。」
このところ勝てないですね〜明日は勝って欲しいですね〜
などと盛り上がってから、2階の展示場へ。
館内は思ったよりずっと広く、立派な美術館です。
2000年の創立で今年20周年になるので、本当は大々的な催しが予定されていたようですが、コロナ禍によって中止。
その代わりというのではないようだけど、休館期間が明けた後、この展覧会を企画したそうです。
時間が限られていた中での準備だったのかもしれないけど、キュレーターがとてもよく考えて工夫したようで、見応えのある展覧会になっていました。
縄文から眉毛まで、というサブタイトルのように、まず縄文土器が展示され、その土器に施された独特の線を見ることから始まります。府中市の本宿から見事な縄文土器が出土しているのと、長野県茅野市から借りたものなどが展示されていました。
そこから時代を追って、「線」をテーマに展示が続きます。
展示作品も多くて、作者も多岐に渡り、楽しめました。
「線」というテーマでいえば、仙涯義梵のヘタウマっぽいサラサラと描かれた仏画(布袋さんとかを仏画というのか知らないけど)とか、墨だけで書かれたものが面白い。
初期の小品ですがわたしの好きな松本竣介の街の絵もありました。
棟方志功のド迫力な版画も、「線」のテーマに相応しいと思います。
作品中、一番ふふふふ、と笑っちゃったのは児玉善三郎という作家の松の絵。
一番ビックリしたのは、漫画は確かに「線」が重要なものですが、その作品として、なんと谷岡ヤスジの作品が展示されていたこと。
まあ鼻血とか、すごい線ですものね。
ヤングジャンプに連載されていた4コマ漫画の原稿が何枚か展示されていたけど、今だったら絶対日の目を見ないような言葉もあり・・・激越な人だったなあ。
現代作家の作品も面白かったです
ポスターに使われている丸岡恭子という作家の「マイナスの質量」という作品、力強さにきれいさもあり、面白い。
糀田ちひろという人のボールペンでひたすらグリグリ線を描きなぞり、天井まで届くほどいっぱいに黒々した塊にした作品は・・・怖かった。
キュレーターやスタッフの熱意や努力が伝わる展覧会でした。
常設展も見ると、足がちょっと疲れた・・・
で、一階にちょっとオサレなカフェがあるのです。
外のテラスでお茶とドルチェを頂きました。
甘味は抑えめ。
美味しく頂いていたら、近くの木にヤマガラのペアが飛んできて、楽しそうに囀っていました。
いい場所を見つけました〜
受付嬢さん、今日は風邪ひかないように、しっかり応援してね。
そして、喜んで帰れるように!