「国宝 鳥獣戯画のすべて」展
5月に予約するつもりでいたら、ちょうどその日から非常事態宣言となり、楽しみにしていた「国宝 鳥獣戯画のすべて」展には、もう行けないのかとガッカリでした。
が、都の他の施設と同じく6月から再開(東博は国立だけど東京都にあるので都の要請に従って休館してた)、6月20日まで会期延長になり、早速予約を取って上野東博へ。
上野なんて久しぶり…いや何年ぶりか?
東博は当時11歳児の夏休みの自由研究で「縄文展」を見たのが2018年になるのか…
で、鳥獣戯画です。
断間も含めて甲乙丙丁巻すべて揃った状態で見られることは滅多にないこと。
予約制といっても、やはり結構な列ができました。
ガラスに映ってる…
ただ時間制で、うちの場合12時の回。
少しずつ中に入れるので、長く待たされることはありません。
入り口で手の消毒と検温をして…
会場は流石に久しぶりの密。
人は流れてはいるので、大密ではないにしても、ソーシャルディスタンスは取れない状態。
でもあまり大きくはない絵巻ですが、ちゃんと見ることはできました。
おそらく人の流れを分散させるためでしょう、私たちは第2部の高山寺と明恵上人に関する展示の方へ先に案内されました。
肝心の鳥獣戯画はおあずけ。
鳥獣戯画は今日に至るまで400年ほどの間、高山寺に伝えられてきました。
その前どこにあったかはよくわかっていないらしい…
そして、高山寺は明恵上人のお寺と言えるので、この特集になったようです。
で、浅学のワタクシとしては、明恵さんと鳥獣戯画がどう結びつくのか、よくわからなかった…ゴッホと違って、修行のために耳を自分で切るくらい、強烈な求道心の持ち主だったようです。
結びつくというよりは、高山寺の2大スターが明恵さんと鳥獣戯画ということになるのかと思います。
さて、鳥獣戯画を展示されている第1部にようやく入ると、まず本巻からは失われた断間や、
失われた部分も描かれている模写などが展示されています。
このコーナーもたいそう面白い。
どうして断間になったのか、考えてしまう。
そして、最後に(うちはコースが逆だったから)甲乙丙丁のそれぞれの巻を見ます。
4巻全てを見ると、一番有名な甲巻もさることながら、他の巻もそれぞれとても面白い。
購入したグッズと図録。
この蛙さんとうさぎさんの相撲とか比べ弓などは、皆甲巻の絵です。
TVで見たり、本で見たりはしていましたが、実際に見ると、前半と後半の筆致の違いや、紙質の違い、また断間がどこにあったかなどがよくわかります。
それにしても生き生きと描かれていて、いたずらっぽい蛙やウサギの様子が楽しくて、いつまでも見たいくらい。
でも、動く歩道(というか鑑賞用の道)に乗せられているので、人の頭越しではなく、とてもよく見える代わりに、戻って見たり立ち止まるなどはできない仕組みになっています。
よく工夫されていて、こうしなければ予約制でも大混雑したでしょう。
乙巻は、甲巻のような擬人化された動物ではなく、動物図録という感じ、最後の方には玄武だとか架空の動物や、ヒョウや象のような日本にはいない動物が描かれています。
丙巻には、前半は色々なあほらしいような遊びに興じる人間たち、後半は擬人化されたウサギたちが再登場。
筆致細かく描かれています。
猫もなかなかいい感じ。
(上の写真は高山寺HPから借りました)
耳引きと首引きに興じる人々。
賭け双六で負けて見ぐるみ剥がれた男などと、大笑いするギャラリーなど。
丁巻は、人間の勝負事や祭りなどが描かれています。
(こちらも高山寺HPから借りました)
怪しい呪術比べの様子。
ヘンな妖がいます。
僧が妖に向かって何やら唱えているように見える…
猥雑でエネルギッシュな中世の市井の人々の様子が伝わってきます。
さまざまな遊芸や、顔を覆った法師や、印地打ちの様子など、網野善彦ワールドを思い起こします。
この巻も見飽きないすごいものですが、ここには動く歩道がないので、また、律儀に並ぶ人も大勢いて、相当の密になっていました。
会場のスタッフが再三並ばなくていい、自分のペースで見て、と呼びかけるも、てこでも動かない人たちの列は絶えず、うちは仕方なく並んだ人の頭ごしに見ることにしました。
無論規則があるわけではないけど、執念で並んだ人の間に割り込むのは顰蹙に違いないので、ともかく遠慮しつつ頭越しに見えるものを見ました。
それでも、全巻見落とすことなく、楽しく鑑賞できました。
図録は絶対買わなきゃと思っていました、3000円だけど〜
これでコロナ禍でなければ、ものすごい大密になったでしょう。
コロナは嫌だけど、予約制でよかったと思います。
12時の予約で(グッズショップ含め90分で出ろ、と言われ、その通り90分で出口へ)、昼食を取っていなかったので、上野の藪蕎麦へ。
先日の東村山のますも庵とはかなり違う、上品なお蕎麦。
でもわたしにはちょうどいい量。とろろがいっぱいかかっています。
温かい山掛けと、卵焼きを食べてとても美味しく満足しました。