世界報道写真展2021

世界報道写真展は毎年見ていますが、去年は新型コロナ流行の影響で、開催中止となりました。

今年も中止かと思いましたがなんとか開催され、7月の下旬に行って、いつものように重い記憶が残るので、なかなか記事にできず…

普段は多摩地方で密を避けて暮らしているので、恵比寿へ行くなんて恐る恐る…なのですが、思えば、この頃はまだ感染者数が今よりはずっと少なかったのでした。

写真美術館では、同時に行われていた篠山紀信の写真展は予約制でしたが、報道写真展の方は予約なし。

会場は、密というほど混み合ってはいないけど、そこそこ来場者がありました。

 

去年から今年にかけては、やはりcovid19が文字通り世界を席巻し、その影響下での写真展でした。

今年の大賞はまさにそれ。

 

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パンフレットにもなっています。

すごいインパクト…

マッズ・ニッセン、デンマークの写真家のもので「初めての抱擁」というタイトル。

 

ブラジルのサンパウロにある介護施設で、新型コロナ感染防止の「ハグ・カーテン」越しに看護師のアドリアナ・シルヴァーダ・コスタ・ソウザに抱きしめられるローザ・ルシア・ルナルディ(85)。

日本人は身内や恋愛関係以外でハグすることはあまりないけど、この介護施設はハグすることが方針としてあるそうで、コロナのためにそれができず、「ハグ・カーテン」がついてからの「初めての抱擁」ということだそうです。

そのカーテンが、蝶か天使の羽のようにも、仏像の光背のようにも見え、命の輝きのように感じられます。

マスクをしているにも関わらず、看護師の表情も印象的で、とても重くしかし希望も表されて、写真としても美しく、大賞に相応しいものだと思います。

 

コロナ禍の中で、日本もその厄災に襲われて、他のことにはなかなか目がいかなくなっていますが、世界では紛争も自然災害も犯罪も事故も数知れず起きていることを、この写真展で思い出します。

 

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ピンボケなのは、パンフの写真をわたしがスマホで撮ったものだからで、当然ながら元の写真はきれいです。

衝撃だったのは、パレスチナで長年刑務所に入っている夫の精子で妻が人工授精によって子どもをもうけて、生まれてから一度も父になったことのない子を育てているということ。長期取材の組写真の部1位の写真がそれです。

新婚の時に逮捕され、イスラエル刑務所で40年間も収監されている…他にも長く収監され、人工授精で産んだ夫の子どもを育てている妻の写真が何枚もありました。

パレスチナイスラエルの紛争は、簡単には言い切れない難しいことが重なっています。

難しい環境の中で、それでも子どもを産む、育てる、というのはなんでしょうか…

考えてしまいます。

 

毎年トランスジェンダーを報じた写真もあります。

傾向としては、トランスジェンダーの写真は美しいものが多い。

今年のロシアの人の写真もそうです。

当たり前だけど、やはりプロのカメラマンだなと思います。

 

ものすごいイナゴの大群に襲われた村の村長が、とてもどうにかできそうな数ではないけど、徒手空拳で追い払おうとしている姿。

これもすごい写真でした。

もう木も地面も壁も何もかも、イナゴで真っ黒。

これは写真どうこうより、イナゴの脅威がすごかった…聖書の時代から悩まされているのに、未だに彼らは襲ってくるのね…

東京サポの「蝗」なんて、可愛いものだし、被害に遭っている人からしたら、気を悪くするかも…

 

topmuseum.jp

 

他にも考えさせられる写真がたくさんありますが、キリがないので…

重く、時には人間が嫌になったり、時には苦難の中でも深い愛が見えたり(政治犯の釈放を待つ妻…結局釈放されず)、自然破壊の猛威を見たり、しんどいのですが、毎日ボ〜ッと生きているので、年に1度くらいは、少し視野を広く、考えることも必要かと、毎年行くことにしています。

 

東京、逆転負けしちゃった…

やはり戦術らしい戦術がないのは、相手はやりやすく、相手が変えてきても対応できず、東京は選手を変えるだけ…

あ〜あ、GKもどうにか…

 

と、わたしこんなことしか考えないじゃないか、やっぱりお馬鹿さんでした…