たまには少しはちゃんと映画を見ましょう、ということで。
今回は
イメージの本
監督 ジャン=リュック・ゴダール
またメンドイから映画.comのまとめを借ります。
ヌーベルバーグの巨匠ジャン=リュック・ゴダールが、暴力・戦争・不和に満ちた世界への怒りを、様々な絵画・映画・文章・音楽で表現した作品。過去人類がたどってきたアーカイブの断片を中心に、新たに撮り下ろした子どもたちや美しい海辺などの映像を交えながら、ゴダール特有のビビッドな色彩で巧みにコラージュ。5章で構成され、ゴダール自らがナレーションを担当した。2018年・第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、特別に設けられた「スペシャル・パルムドール」を受賞した。
2018年製作/84分/G/スイス・フランス合作
原題:Le livre d'image
配給:コムストック・グループ
この時ゴダールは87歳だか88歳か。
カンヌではわざわざゴダールのために「スペシャル・パルムドール賞」を設けました。
しかし彼は後白河上皇(法皇)のような権力欲はなく、むしろ孤高のジイサマとして、あくまで一人で語り、一人で(無論スタッフはいるのでこれは比喩)美しい映像を作り、そして怒りを表しながら、絵画、映像、文章、芸術の力というか、可能性を信じていることを感じさせて終わります。
語りの短さ(過去の作品に比べて)には、多少さしものゴダールも年取ったかなあ、と思いましたが、映像美と、イメージの引き出しの多さはやっぱりゴダール。
いつもの彼らしく5という数字にこだわって…PCを叩く指が5本ということから象徴的に始まり(菊地成孔はキーボードは指10本使うんじゃね?とツッコミを入れますが)、作品も5章に構成されています。
初めの溢れ出るイメージ、古い映画のコラージュ、引用されたものの豊かさは相変わらずで、ここはおとなしく余計なことは考えずにゴダールの世界に浸っていればいい。
映像は素晴らしく美しいですし。
よくゴダールは難しい、わからないという人がいるけど、わたしなんか元より何も深く考えないから、難しく感じない。溢れ出る(今作品は溢れるほどではないけど)言葉の中の一つに引っかっていると、ゴダールの場合置いてけぼりを食うことになります。
それに今作品は、菊地成孔も言っているけど、あまり捻ったことはゴダールも述べていません。結構まっすぐ前を向いた発言が多く、それはおじいちゃんになったせいかはわからない。
はっきり伝えたい意思がつよかったか…
アラブ世界の章が異色な感じで、史実なのか暗喩的な物語なのかよくわからなかった。
アラブ世界には特に疎いから…
しかし、これだけで長編映画ができそうな家族、特に兄弟の物語でした。
インタビュー記事によれば、もう2作品撮ってゴダールは「映画よ、さようなら」と言うつもりらしい。
夫は若い頃からゴダール好きなのでほとんどの作品は見ている。
わたしは大人になってからというか、かなりおばさんになってからゴダールが好きになったのだけど、まあそこそこ見ている。
うちがちょっと困っているのは「ゴダールの映画史」。
大体ゴダール作品は1時間半ほどのものが多いけど、これは長大で、こっちの体力知力はゴーダール爺さんよりそもそもの基準が低いのに、低下は早いので、なかなか挑戦する気になれません。
でもどんどん理解力も感性も落ちて行くわよねえ…
どうしたものか。
ゴダールや、この後見に行った横尾忠則など、やはり人並外れた生命と知力のエネルギーを持っているのでしょう。
この「イメージの本」について菊池成孔の評が面白かったので、コピペしておきます。