「GENKYO横尾忠則」東京都現代美術館、エネルギーにやられて…
ゴダールに続いてオジイチャンの作品です。
この人もわたしよりずっと年上なのに、ずっと元気でずっとエネルギッシュ…
あたしゃとても80歳どころか70まで生きるのもおぼつかないので、彼らの生命力にはただただ感服いたします。
清澄白河の東京都現代美術館にはずっと前、10年くらい前かしら、1回行ったことがありますが、うちからは東京都で一番遠い美術館かも。
ほぼ千葉だし、ここまできたらフクアリも近いよねえ…試合やってないけど…などと言うくらい。
左の2枚が横尾忠則展のポスター、自画像です。
会場は予約制なのでまずまず人はいるけど密ではありませんでした。
若い人もいるけど、昔サイケデリックなファッションでコンサートとか言ってたんだろうな〜と思わせるオジオバも多く、もしかすると横尾忠則の初期作品、天井桟敷の「腰巻きお仙」なんかにも通ったクチかも。
横尾忠則(よこおただのり)
1936年、兵庫県西脇市生まれ。高校卒業後、神戸でデザイナーとしての活動を始め、1960年に上京、グラフィック・デザイナー、イラストレーターとして脚光を浴びる。その後、1980年にニューヨーク近代美術館で大規模なピカソ展を見たことを契機に、画家としての本格的な活動を開始。様々な手法と様式を駆使して森羅万象に及ぶ多様なテーマを描いた絵画作品を生み出し、国際的にも高く評価される。2000年代以降、国内の国公立美術館での個展のほか、パリのカルティエ現代美術財団(2006)をはじめ、海外での発表も数多く行われている。
2012年に横尾忠則現代美術館(兵庫県神戸市)、2013年に豊島横尾館(香川県豊島)開館。
館内ロビーのインスタレーション。
予約時間まで間があったので、これを見ていたら、奥からやや太く活力のある男の人の声がする。
と、スタッフやカメラマンに囲まれた横尾さん本人でした。
とても80代には見えない…こっちの方がよほどトッショリに見えるんじゃ…
片耳が突発性難聴でほとんど聞こえないとか、腱鞘炎で腕も痛いとかTVで聞きましたが、見たところお元気そうでよかった。
撮影禁止でしたが、横尾の真っ赤な唇で開いた口のモチーフを貼り付けたマスクを、いろんな有名人がつけているコラージュもありました。
本人が承諾したかは知りませんけど、面白かった。
内容は上の通り。
初期のポスターやイラストから、今年描かれた作品まで、膨大な量の作品展でした。
一言で感想を言うと、ものすごいエネルギーにやられた。
生命エネルギー、創作エネルギーというか。
500点以上の作品群ですから、見るだけでも時間がかかるし、どれもどうじゃ〜とばかり横尾ワールドが表出されているので、もうヘトヘトになりました。
ブログも今日3本目だから今ももう疲れたし←
初期の方のインドやチベット仏教的なものと、受胎告知を組み合わせた(コラージュも)作品も当時、評判だったように思いますが、わたしはあまり好きではない…
絵画的な面白さはあっても、それ以上ではないように思います。
彼はそれなりに何か求道していたのかもしれないけど。
ポップな色使いの赤い唇を持った作品は、面白いけどあんまりたくさん見たので、どれがどれかもうわからなくなった…
好きだったのは最近の作品で、タイトルの「GENKYO」もその一つ。
ゴダールは過去の映画の「リメイク」したシーンを多く入れてたけど、横尾忠則は基本的に自分大好きというか、関心のほとんどは自分にあるようで、年齢のせいでしょうか、過去の記憶というより、今も意識には生きている人々の姿、幼い自分を繰り返し描いています。
モチーフのいくつかは…初めて見た映画「ターザン」のジェーン、三人ののぞくあるいは見下ろす少年たち、過去の記念写真などなど…
また犬は哀愁、悲しさ、残酷さ、貧しさの象徴のように描かれ、猫は猫のまま。
多分猫好きだな、と思って見ていたら、ペットの「たま」へのレクイエムというコーナーがあり、愛らしく賢しそうなたまの絵がいくつも掲げられ、その頃横尾自身も病気だったのと重なり、もういないであろうたまへの想いが伝わってきました。
彼は収集癖も尋常ではなく、滝が好きで絵葉書を集めたもので一部屋インスタレーションを作ってありましたが、これが呆れ果てるほどの滝の絵葉書の量。
壁中、天井までびっしり、こんなに集めるなんて、集めだすと止まらないのね。
作品の中にも滝は繰り返されます。
繰り返されるものは色々あるのでキリがない…
Y字路の作品群は、面白く感じない人もいるかもしれないけど、わたしはこの静謐な不安定感、気に入りました。
Y字路も繰り返し描かれ、しまいにはポップなY字路もありますが、何か不安感も漂うような普通の街の絵にも見える作品が好きです。
最近の作品には、昔の記念写真から顔の切り抜きを貼り付けたものが多くあり、お父さんとアイスクリームを食べている絵などもそれです。
木の上にはその多分故人が多いであろう写真の顔たちが過ぎた時間を表しているようで、足元には餓鬼草紙の餓鬼たちがうっすらと描かれていて、不気味な時代感を表して要るようです。
その中でお父さんとアイスクリームを食べる、親子の幸せは不可侵ということでしょうか。
などなど考えたり、最後の方にはなんと寒山拾得がトイレ掃除などしていて、面白く見ました。
しかしもうこっちがエネルギー切れ。
11:30の予約だったのですが、見終わったら14:30。
ランチはせっかくだから深川飯の店に行こうと思っていたけど、美術館から少し歩くし、この時間でやっているかわからない。
それももう足が痛い。
で、館内のカフェでサンドイッチを。
サラダと、エビフライサンドと、イチゴとクリームのクロワッサンサンドとコーヒー。
エビフライサンドは温めてくれて、美味しかったです。
深川飯は自分で作ろう…
清澄白河駅周辺をちょっとウロウロして、83歳のエネルギーにすっかりやられて、足痛い疲れた…と言いながら、帰宅しました。