映画館で映画を〜「明日に向かって笑え!」

10月11日、なぜか公休日ではなくなったその月曜日、コロナ患者も減ってきたし、映画館の感染対策も整っているので、また出かけようか、なんか気楽に見られそうなもの…

と、探したところ、「明日に向かって笑え!」がいい、と。

上映館が吉祥寺アップリンクしかなく、「映画館で映画を」というにはたいそう小さな箱で、ちょっとした小金持ちのホームシアターくらいな感じ。

まあ仕方ないか。

 

いつものように映画.comから借ります。

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アルゼンチン映画瞳の奥の秘密」の脚本家エドゥアルド・サチェリと主演リカルド・ダリンが再タッグを組み、金融危機のおかげで夢も財産も奪われた小さな町の人々の奇想天外な復讐計画を描いた痛快ヒューマンドラマ。2001年、アルゼンチンの寂れた田舎町。元サッカー選手のフェルミンら住民たちは、放置されていた農業施設を復活させるため、貯金を出し合うことに。しかしその金を銀行に預けた翌日、金融危機で預金が凍結されてしまう。しかもこの状況を悪用した銀行と弁護士に預金を騙し取られ、住民たちは一文無しに。奪われた夢と財産を取り戻すべく、驚きの作戦を練る彼らだったが……。リカルド・ダリンの息子で、「永遠に僕のもの」で知られるチノ・ダリンが出演し、父子共演を果たした。

2019年製作/116分/G/アルゼンチン

 

 

瞳の奥の秘密」は映画館で見て、結構面白かった。

そうか、あの脚本家か。

 

原題は「まぬけたちの一連の長い冒険」。

この作品、アルゼンチン映画ですからワタクシ全くわかりません。

が、地名以外で一つだけ聞き取れたのが「ロホ」。

あまりいい言葉ではないようですが、言わずと知れたリーズの監督ビエルサの仇名が「エル・ロホ」。

馬鹿げたやつ、かなり頭がアレなやつ、といった意味のよう。

 

で、この作品にはおかしな連中ばかり登場します。

 

主人公のフェルミンは元サッカー選手でCAチャカリタ・ジュニアーズに属し(実際にこのクラブはスーペルリーガに属しているらしい)、一度大きなカップ戦でフェルミンのゴールで優勝したことがあり、田舎町の英雄として、銅像(みたいななんか)が建てられているほど。

しかし引退して年数も経ち、フェルミン像も禿げたり傷んだり…

そのゴールも相手に当たって入ったとか本人はあまり触れたくない過去。

しかし、体も心もでっかい妻とは仲良く、それなりに幸せそう。

その彼が、しけた田舎町の活性化を夢見て、資金集めに奔走し、集めたお金を銀行に預けた迄はよかったけど…

遠い日本でも聞いたことのあるアルゼンチンの金融危機が・・・

1990年代には、兌換制(1ドル=1ペソの固定相場)の下で、自由開放経済政策を促進。この結果、ハイパーインフレの収束、投資の増加により、高い成長率を達成。しかし、1999年1月のブラジル金融危機の影響もあり、次第に景気が低迷し、2001年後半には金融不安が金融危機や全般的な経済危機に転化。政府は対外債務の支払い停止(デフォルト)、兌換制の放棄(自由変動相場制への移行)を行った。経済危機と外貨不足の中、2001年12月に、アルゼンチン政府は、支払のための外貨不足から1320億ドルにのぼる公的債務の一時支払停止を宣言。 これによりアルゼンチン金融危機が表面化した。

 

この情報をいち早くゲットしていた銀行マンと弁護士が、彼らの財産を含めて、銀行のお金をごっそり騙し取ってしまい、現金を弁護士の持っている(なにしろ土地は広大)荒地の林の中に地下金庫を拵えて保管する。

 

それを知ったフェルミンはじめ仲間たちが自分たちの財産を取り戻すべく、計画を立てる…

何度もピンチに陥り、最大のピンチはフェルミンの妻の事故死で、すっかり打ちひしがれてしまい、仲間の呼びかけにも応じなくなるのだけど、妻の代わりに成長した大学生の息子(実際の息子だそうで似ている)が、立派なメンバーになっていき、父親も計画に復帰する。

息子と、悪徳弁護士の事務所で働いているかわいい女子とは、予想通りの結果に。

 

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次々に難題が生じたり、アホな失敗もあり、またメンバーも相当癖の強い連中なのが、話が進むにつれ、それぞれの得意分野を生かし、団結力も強くなっていきます。

地下金庫を拵えた弁護士が、彼らの策略で神経がやられそうになるのもいい気味。

 

最後はかなり乱暴にやってしまうのだけど、なにしろアルゼンチン中が大混乱の時期なので、その後は平穏で期待した通り、ホッとして映画館を出ることができます。

 

どうなるかは大体わかっても、奇妙な笑えるエピソードがあり、また親子の悩みや、おかしな兄弟や、バイタリティーに満ちた貧乏な親父とか、細部に面白さがあって、小さいスクリーンでも十分に楽しめる映画でした。