ここでW杯やるのか・・・J.M.クッツェー「マイケル・K」

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日本がはやばやとFIFAワールドカップ南アフリカ大会出場を決めました。
岡田監督は、ベスト4進出という豪気な目標を打ち立てています。
目標ですから・・・よろしいのじゃないでしょうか。

で、みなさん。
南アフリカについて、どのくらいの知識をお持ちでしょうか?
わたしなんぞ、それはもう、一言で言えば貧困な知識しかありません。
南アフリカと聞いて・・・思い浮かぶ言葉は・・・
アパルトヘイト。ネルソン・マンデラマンデラ夫人のスキャンダル。「遠い夜明け」。
名誉白人(恥)。ソウェト。マナクアランド。
・・・・・・アフリカ象が好き!←いるのかしら?象。このギャク分かる人も?
もう浮かばない。

だから読んだわけでもないのですが、南アフリカの小説家J.M.クッツェーの1983年作品「マイケル・K」、日本での初版は89年だそうです。
2003年にノーベル文学賞を受賞して、クッツェーの名は日本でも知られるようになった・・・というのですが、わたしは寡聞にして知りませんでした。
なぜ読んだかといえば、ウチにその文庫本があったから。
CD、DVD、本を見聞きするより、集めるのが趣味らしい夫が買っておいたもののひとつです。
ノーベル賞ったって、某国総理大臣経験者がもらったりするくらいで、アテになるのか
わかりませんが、少なくとも小説などはそういう機会がないと、なかなか情報も入りにくいものです。
そんなわけで、「ふうん、南アフリカか。今ちゃんと長友がいくことになりそうだから、読んどくかな」と、手にしたこの小説。

内容は
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BBK
こんなところ。

読みながらの感想・・・へええええ・・・こんなところでW杯するの?

自分をこの国のカラードの立場に置いたら、ほとんど生きた心地がしません。

と言っても、この小説はまだアパルトヘイトの時代、内戦のさなかのことなので、
今の南アフリカとは違います。
なんと過酷なこと。しかし主人公マイケル・Kの絶対的な自由。
ポール・オースターとはまた違う、何もないどこでもない、誰でもない人。
マイケル・Kが大事に持って歩いているものは、かぼちゃの種・・・
それが大地の象徴とも言えるもので、この物語の主題でしょう。

たいそう力のある作品でした。
もちろん、これを読んだだけでクッツェーという小説家がわかるはずもなし、
まして南アフリカがわかるものではありません。
でも、少し前までこういう一面があったことは確かで、この国がW杯の開催国になる・・・
良かったと思うと同時に、容易なことではないと感じます。

それでも最近までこういう苦難を背負ってきた国で行う、フットボール大会が
楽しく成功するように願うものです。

欧州でもない、南米でもない開催国、日韓の時のように、
アップセットの可能性は高くなるやもしれません。
岡田さんのいうベスト4も、絶対にないと言い切れるものではないでしょう。

6月10日一部修正しました。