手紙の時代の愛「ジャニス・ジョプリン 恋人たちの座談会」

寝正月以下の元日を過ごしています。
諸事情により夫は海外だし、BABEはいないし・・・
鹿島が天皇杯取っちゃったし・・・つまんない。かわいくないことろが勝つ。東京は可愛すぎる・・・・
 
で、暇すぎるのに寒くて肩が凝っています。
 
で、先日NHKBSでやっていたフィルムについて。
「世界のディーバ 男と女の物語 『恋人たちの座談会』」という、どれがタイトル何だかサブタイトル何だかわからないもの。
2年くらい?前に放送されて、何度か再放送されました。
このディーバとは、ジャニス・ジョプリン
彼女が生前に付き合っていた、つまり元彼どもが一堂に会し、ジャニスの思い出を語り合う・・・いうのもヤボですが一人の女とそういう関係にあって、すでにジサマになった男たちがその思い出を語る、ある意味ちょっとヘンなものです。
 
もうジャニスを知らない人の方が多いんだろうな・・・こんな人でした。
 
 
映像が悪いけど、ソウルフルな歌声はわかると思います。
ジャニスについては
 
1970年、27歳の若さでドラッグの過剰摂取のため亡くなりました。
その時代と言えば、69年にブライアン・ジョーンズがやはり27歳で亡くなり、ジャニスと同じく70年にジミ・ヘンドリックスがやはり!27歳で亡くなっています。みんなドラッグがらみ。
映像で見るとおり美人ではないのですが、とにかくその声が歌唱力がすばらしく、一度聞いたら忘れられないインパクトがありました。バックバンドのビッグブラザーホールディングカンパニーの音がやや薄っぺらいのが惜しまれるのですが、それでも彼女のすばらしさは冴え渡っていました。
 
田舎町でモテもせず、あまり際だった活躍もなく、どちらかというとバカにされていた少女時代を過したのでしょう。シンガーの道を歩き始めてから、次々に男性と付き合うようになります。
シンガーになって最初の恋人が「カントリー・ジョー」・・・といっても知ってる人いないのだろうなぁ・・・今のわたしが見ると全然似合わない者同士に思うけど。ジョーはいわゆるプロテストソングの第一人者だったし(たしか「ウッドストック」に出てた?)
 
どういう相手なら彼女を満足させたのか、もうわからないけど、彼女は一夜の恋人(そういう歌もある)も含めて、何かに飢えたように相手を代えたようです。
わたしが興味をひかれたのは、最後の恋人。
デービッド・ニーハウスという、ミュージシャンではなく当時の言葉でいえばヒッピーのような人だったらしい。
座談会でも彼はまともに見えました。
ジャニスを本当に愛していたのは、彼だったようです。
 
しかし彼はバックパッカーとして欧州、オリエント、アジアを旅する人でした。
ジャニスにはコンサートツアーがあり、二人は一緒にいられません・・・
ジェニスが好きなら旅なんざやめてくっついていればいいのに?
そうはいきませんな、彼にとって旅は生きることと同義なのです。そういう時代だったのです。
それにただジェニスにくっついて彼女の欲求だけ満たすような男なら、他にいくらでもいたはず。
で、地球の半周向こうでジャニスは彼を渇望しつつ、彼はジャニスを愛しつつ、生きるわけです。
二人の交信手段は・・・手紙。
英語でmailといえば、手紙ですが、いまや日本で「メール」といえばeーmailのことです。
しかし60年代に電話はあれど携帯はおろかPCも個人用としてはない。
68年製作キューブリックの「2001年宇宙の旅」には「ハル」というコンピュータが活躍しますが、これは当時から見て未来の話(この映画、大好き)。
ジャニスとデービッドには各国アメリカ大使館宛に送る手紙だけが、お互いを繋ぐ方法でした。
これが、まるで韓流ドラマかと思うようなすれ違いの連続・・・
ジャニスの愛の籠もった手紙は、デービッドが他の国に去った後に届く。
デービッドはジャニスから手紙が来ないので、もう忘れられたかと思う。
 
そして、ジャニスはデービッドを待ちきれずに亡くなってしまいます。
その話をするデービッドは当時の青年に戻って、涙を流し続けていました。
 
今なら携帯電話かそのメールでやりとりができる。
でも、「手紙の時代」のジャニスとデービッドの愛。待つこと信じることが試されます。
忍耐強い恋人たちがおそらく今よりずっと多かったでしょう。
 
そんなことを思ったのでした。