フクアリで歌う?"You'll Never Walk Alone"

 
 
とんだ地雷を踏むことになるかもしれないのですが・・・わたしの意見を述べようと思います。
 
ジェフの公式サイトでこのような発表があり、Twitterやジェフサポブログなどで少なからず物議をかもしているようです。
「力をひとつに。デー」として、復興支援をテーマのイベントという主旨は良いのでしょうが、フクアリで「みんなで"You'll Never Walk Alone"を歌おう」というのが、ジェフサポのみなさんの気に障っているようです。
 
 
それも無理はありません、当日ジェフが迎える相手は、FC東京
”YNWA"は東京のアンセムなのに、なんでわざわざ東京の応援ソングをその試合前にジェフサポの我らが歌わなきゃならんのか?そのあとの応援だって気勢をそがれかねないではないか、ということでしょう。
 
せっかくやっとジェフの試合が見られるのに、こんなことで頭を悩ますとは・・・というジェフサポの溜息が聞こえてきそうです。
 
相手が他のチームならまだしも、、さらには他の曲なら良いけど・・・というところでしょう。
 
さて、ワタクシ東京サポからすると、”YNWA"を是非とも歌って下されと頼んだわけではなし、ジェフのサポとフロントとがもめても関知するものではありません。
そんなにイヤなら黙祷だけにすれば良いものを、そんな不満のある復興支援イベントなんて被災者の方にも迷惑なことです。
 
しかし、ここで一つワタクシなりの理屈をこねてみようと思います。
まず、「ユルネバ」と"You'll Never Walk Alone"は違うと思います。
松本山雅とのチャリティマッチでも試合前に歌いましたが、それも”YNWA"であって、「ユルネバ」ではなかったとわたしは認識しています。
松本山雅サポに感服したことは、彼らは”YNWA"を練習してきたようでした。
お互いのマフラーを掲げつつ、被災地と被災された多くの方を思いながら歌った"You'll Never Walk Alone"は一生忘れられないでしょう。
その後、山雅のすばらしいアンセムを、東京サポも聞いて、終わったら拍手をしました。
もちろん、これはチャリティでしたし、JFLの山雅とは当分当たることもないので、今度のリーグ再開のジェフ戦と同列に言えることではないでしょう。
しかしこの山雅サポのホスピタリティに深く感銘を受けたことは、今後も語り続けるつもりです。
 
今回のジェフサポのいう「ユルネバ騒動」によって、若いサポの間では”YNWA"より東京のアンセムとしての「ユルネバ」がわたしの想像以上に定着しているらしいことを、知らされました
わたしは、実はFC東京の存在よりもずっと前に”YNWA"を知っていました。
ユルネバ」という日本語化した呼び方に今でも若干の居心地の悪さを感じます。
わたしがこの歌を知ったのは、ピンク・フロイドのアルバム『おせっかい』にある"Fearless"という曲の最後にレッズ(リヴァプール)のアンセムとして入っているのを聞いたのでした。
そんな訳で、わたしはこの”YNWA"は普遍性の強い曲だと思っています。
しかし、若いサポーターの中には、始めにこれがFC東京の「ゆるねば」として耳に入った人も多いのでしょう。
そういう人は、東京サポならば被災者の方を思うよりも「東京頑張れ!」としか思えないかも知れないし、ジェフサポならばそんな歌、歌いたくない!ということになるのかも知れません。
 
それでも、むしろそれならばなおのこと、この歌のために残念なことと思います。
 
あるジェフサポは「味スタで『アメグレ』を東京サポに歌えって言うようなものだ」と評していましたが、またも理屈を言わせていただけば、これもその通り、と認められる部分と、ちょっと違うと言いたい部分があります。
感情からすれば仰る通りでしょう。
しかし、その歌だけを比べてみると、違いがわかります。
「アメグレ」には「ジェフ・ユナイテッド」というチーム名が歌われていますが、”YNWA"にはチーム名もそれを暗示する言葉も出て来ません。
「アメグレ」はもともとゴスペルソングだったものに日本語でジェフを応援する歌詞をのせたもの。
”YNWA"はオリジナルそのままです。
またその歌詞は、まず被災者に捧げるにふさわしい内容です。
 
嵐の中を歩くとき、顔を高く上げて行こう。
暗闇を恐れず
嵐の向こうには、輝かしい空が。
雲雀の優しい歌声が。
 
歩こう。風の中も。
歩こう。雨の中も。
歩き続けよう
希望を持って。
たとえ夢は破れても。
 
歩こう
歩き続けよう
君は一人じゃない。
君は決してひとりじゃない
 
・・・と、こんな内容です。
 
「アメグレ」の元歌”Amezing  Grace"もわたしは大好きですし、英語でも日本語でも歌えます。
これは罪深い生き方をしてきた奴隷商人が、悔い改めて、神さまの恵みの深さに感謝する賛美歌です。
ジェフはたいそうすばらしい歌をアンセムにしたと思います。
しかし、これが「アメグレ」になると、ジェフを応援鼓舞する以外の意味は持ち得ませんね。
 
FC東京とジェフとどちらの歌が良いとかいっているのではないのです。
被災者復興支援ならば、どの歌がふさわしいだろうかと・・・
 
それでも「やっぱりこれは東京の応援ソングだろう、そんなの東京戦の前に歌えるかよ」という人の気持ちも、わたしもサポですから、わかります。
だったら歌わなくて良いと思うし、黙祷だけにしたらどうでしょう。
東京サポの中にも、被災者のことなど思いもしないで「ユルネバ」として歌う人もいるでしょう。
ただ、「今サッカーを見られること、サッカーができること」その意味については、よく考えるべきだろうと思います。
 
わたしはこの3万人に届きそうな死者行方不明者を出した激甚災害が、原発の事故ゆえにいまだ進行している中で、サッカーを見られることを感謝する意味も含めて、もしフクアリでYou Never Walk Alone"を歌うなら、心をこめて歌うつもりです。
それからジェフがチャントを歌う時に、東京サポがアルウィンの時のように、しばし沈黙できたら、東京サポの見識も誇って良いと思います。が、そうなるかどうかはわかりません。
そんなにおりこうさんなサポではないからねぇ・・・・
ともかくも、もしフクアリで”YNWA"を歌うなら、ジェフとFC東京と両方のサポーターのある意味で見識が問われると言えるかも知れません。