「英国のダービーマッチ」シェフィールドダービー

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夫が先に読んで、面白いから是非読むようにと勧められた本です。日本では09年発刊だから新刊書ではありません。
ダグラス・ビーティーというスコットランド生まれのBBC報道記者の著書
まだ第1章を読んだだけなのに、記事にするのも図々しいのですが・・・
それだけでもじゅうぶん語りたくなるので、まずは第1章のシェフィールドダービーを。
といっても、わたしはイギリスにもスコットランドにも行ったことがありません。
それどころか、ヨーロッパに行ったことがないのです。アメリカにもね。
渡航回数はとても多い方ですが、全部アジア、ちょっぴりオセアニアです。
欧州に行きたいとは思うけど、住むにはなんだかめんどくさそう。
 
 
いきなり話がそれた。
でもそうでもなくて、わたしがシェフィールド・ウェンズデーを知ったのはその住んでいた東南アジアの某都市のTVでプレミアリーグを放送していたとき。チーム名を漢字で「星期三」と当てていたのがとても面白かった・・・メインランドではどういうか知りませんが、中国語で水曜日は「星期三」です。日本で「シェフィールド水曜日」とそのまま呼ぶ感じですね。
その「水曜日」がその頃プレミアにいた最後の時期に当たっていたようです。
ゲームとか選手とかはなにも覚えていません。
それもそのはず、その頃はマンUとか超有名なクラブにしか興味がなくて・・・今にして思えば、もっといろいろなチームの試合をまじめに見ておけばよかった。
 
次にシェフィールド・ウエンズデーの名前を聞いたのは、映画「フルモンティ」で。
主人公ロバート・カーライル演じるガズが、息子に「シェフィールド・ウエンズデー」の試合を見に行きたいとねだられて、勤めていた鉄工所が倒産して失職中でお金がなくて困った彼は、息子を同じシェフィールドのアマチュアチームの草サッカーに連れて行く・・・「こんなんじゃない、ぼくはウエンズデーの試合に行きたい」というのを「これだってシェフィールドだ」と言い返す。と、そんなエピソードだったと記憶しています。
 
フル・モンティ」は97年の作品ですが、舞台はサッチャーの政策で多くの失業者が出た頃。
シェフィールドが鉄鋼の街で、この頃不況に見舞われていたことをこの映画で知りました。
 
シェフィールドでダービーといえば、ウェンズデーとユナイテッドですが、まずはウェンズデーが創立され、主な支持者は「水曜日」が定休日であるような個人営業主などが多かったそうです。
それよりなにより、シェフィールド・ウェンズデー世界最初のサッカークラブ1867年設立とは、すごい。
日本は慶応2年、1月に徳川慶喜が将軍就任・・・江戸時代末期か。大江健三郎の「万延元年のフットボール」という作品があるけど、慶応の一つ前の年号か。
22年遅れて生まれたのがユナイテッドだそうです。
 
水曜日の方が資金潤沢、クリーンな試合をすることを信条にあげ、あとからできたユナイテッドはやや規模が小さく、何かと問題を起こす弟のような役割だったらしいですが、現在ふたつのクラブにもサポーターにも大きな違いはないようです。
 
で、この本では後から後からこれでもかとダービーの相手への罵詈雑言が紹介されています。
ダービーで勝ったユナイテッドが相手チームの「葬儀告知」を街に張り出したり、次にウェンズデーが勝ったらまたユナイテッドの「葬儀告知」を張ってやり返したり、まったくもう。
でもどこの世界でも、興奮すると語彙が乏しくなるものらしく、シェフィールドダービーではお互いに「ブタ」呼ばわり。
 
しかしこのシェフィールドダービーを取り上げた章でもっとも印象的な筆者のことばは、これです。
「サッカーは、サッカーを愛する人たちに、サッカーよりも大切なことがあることをときどき思い出させてくれる」
これはすばらしい言葉だと思います。
06年、すでにプレミアからは遠ざかった2チームのダービーの前に、交通事故で二人のウェンズデイサポが死亡するという悲劇がありました。アウェイゲームの帰りだったそうです。
クラブは、次のホームゲームの前に二人のサポ-ターに黙祷を捧げると発表。
ところがその試合こそプレミア昇格と、チャンピオンシップ残留とがかかる大一番の「鉄の街ダービーだった・・・さて、ユナイテッドのサポはウェンズデイサポのための黙祷の間どうするか?
 
緑サポがそんな事故に遭って、緑がダービーの時黙祷するとなったら東京サポはどうするでしょう?ダービーではないし、ジェフサポが”YNWA”を歌わなかったのとはちょっと違うか・・・
この「鉄の街ダービー」はもっと歴史があり因縁もあり、しかも昇格と残留がかかっている・・・普段から罵り合いは、Jリーグサポの比ではありませんし。
 
しかし、そこで「サッカーは、サッカーを愛する人たちに、サッカーよりも大切なことがあることをときどき思い出させてくれる」
もしかするとこの本を読む人があるかもしれないので、詳しくは書きませんが、この試合に臨んだ両シェフィールドのサポーターたちに感動させられました
 
次はヴィラ・バーミンガムバーミンガムダービーです。
1章1章感想を書くのは大変だから(そんなにアイデアないし)そのうちまとめて・・・