権田選手、「狂熱のシーズン」のヴェローナへ行く
この権ちゃん海外で練習参加、の報道を目にしたとき、わたしは思わず「おおっ!」と声を上げてしまいました。
ヴェローナFCといえば、この名著があるのです。
かなり読み応えがあるので、ぼつぼつ読んでると、権ちゃんが帰ってくるまでに読み終わらないかも。
この本を読んでいたので、権ちゃん大丈夫かなぁ、と心配しております。
市街地が世界遺産に登録されているそうですから、行ったことないけどさぞやすてきな町なのでしょう。
イングランド人らしく、自分の住んでいる町のチーム、ヴェローナを応援して・・・というか、ゴール裏のものすごいコアサポ集団に身を投じて、ホームだけでなくアウェイまで全試合を応援に行くという、ウチの言葉でいう「サッカー○゛カ」の書。
イタリア人のメンタル面も、意外とネガティブなんだ~とか、そういうメンタルだと八百長を生みやすいだろうなとか、この本で知ったことがいろいろあります。
著者はイングランド人なので、イタリアとのカルチャーギャップにも驚いたりおもしろがったり。
選手が審判に異議を言いまくるのがイタリア、そのへん非常に潔いのがイングランド。
W杯ポルトガル戦で、クリロナの挑発にのって、非紳士的行為で退場になったベッカムが、母国でどれほど非難されたか。イングランドはキタナイ行為をしないのが、とても好きですが、彼らの勝負弱さはたぶんその気質と表裏でしょう。
で、イタリアの選手の異議申し立ての多さに、ティム・パークスは呆れる。
この本の中にも、当然ながら残留争いがあり、応援も狂熱の度が上がること。
試合を見るだけにイタリア各地を弾丸ツアーすることなどは、わたしたちにもよくわかります。
時々、なんでこんなに忙しい思いをするのか?なんて自嘲したくなる。
パークスさんを含めた熱狂的サポーターのついているヴェローナ、そのコアサポはやはりそうとうコワイ。
日本の「ウルトラス」ではすごく熱心なサッカーサポ団体という程度の認識かと思いますが、60年代末に誕生したイタリアの「ウルトラ」と名乗る過激サポ集団は、(「ウルトラ」ということば自体過激な政治団体という意味らしい)、非常に政治的意味合いをもつ、つまり極右集団なのだそうです。
だから人種差別的なヤジはもちろん、もっと危ない行動に走ることもある。
パークスさんがどうしてそんなヤカラとともにいるのかは、本を読んでいただくとして、ビックリするのは、サポのヤジのすさまじさです。
柄悪いなんてものじゃないですな・・・でも他のサッカー本を読んでもヤジは東欧などでもすごいので、日本が上品なのかも。
小瀬では試合前に女性の声で「汚いヤジはやめましょう、子どもが見ていますよ」と放送します。いわれるまでもなく、ヴァンサポはおとなしい。
特に人種差別的なヤジはやはり許されないものですが、スタジアムは「そこだけに許された劇場」という側面があるとも言えますから、あまりお利口すぎるのもちょっとつまらないか?
「女よりも、仕事よりも、東京♪」くらいの歌は、「外で歌っちゃダメよ」と言い含めて、子々孫々に歌い継がれるべきかと・・・あ、話がそれた。
この本は2001年シーズンの記述で終わっているので、それから10年以上経っています。
ヨーロッパでは反人種差別キャンペーンも盛んなことから、ヴェローナサポでも多少おとなしくなっているかもしれません。
でも、権ちゃん練習生とはいえ、へっぽこなプレーしたら何言われるかわかりませんぞ。
それも経験のうちかもしれないけど。
しっかり頑張ってきてください!