「エル・グレコ展」

倉敷の大原美術館エル・グレコの絵を見て以来、好きな画家の一人になったエル・グレコ
今回プラドからたくさんの作品が来たので、見に行きました。
 
エル・グレコについては会場の東京都美術館のHPより
 
ギリシャ人」という意味のあだ名で、本名をドメニコス・テオトコプーロスというギリシャ生まれの画家です。彼は生地でキリスト教にまつわる図像を描くイコン画家として画業をスタートさせ、その後イタリアで西欧絵画の技法を習得し、35 歳頃スペインのトレドにたどり着きます。そして没するまでの後半生をそこで過ごし、画家として大成しました。細長くデフォルメされた人体や超自然的な光の効果を特徴とする独自の様式によって、対抗宗教改革カトリック的熱情と神秘を反映した宗教画を描いたことで知られています。西洋美術史上最も偉大な画家の一人です。

エル・グレコの作品にみられる深い精神性や宗教的情熱は、長い間、画家自身の神秘主義的思想や狂信的な奇想の産物であると考えられていました。しかし、今日ではそうした見方は退けられ、生地で体得したヘレニズム文化と、イタリアで学んだルネサンス人文主義に立脚しつつ、トレドという場において優美な人体描写の理想とカトリックの宗教的主題を稀有なかたちで融合させた、きわめて独自な知性の創造であると見なされています。
 
 
ギリシャ人」というあだ名ってのもナンですが、昔、夫は東南アジアの某都市に住んでいたことがあり、オーダーメイドの紳士服屋さんを地元の人から紹介された時、他に日本人の客がいなかったので店主から「日本人」と呼ばれていたことがありました。そんな感じ?
それはともかく、彼の画家人生のほとんどはスペインで過ごされたので、作品もわたしのイメージするスペインそのものです。行ったこと無いけど。
今回見て感じたことは、彼が聖書に書かれた「目に見えないもの」「霊的なもの」を描こうと様々な工夫をしていますが、それがむしろ非常に現代絵画的なものに見えるということです。
エル・グレコは大変絵の上手いひとで、確かな技術に支えられた大胆なデフォルメで、祭壇を見上げる時により効果的に見える作品を多く残しています。
 
肖像画のすばらしいものもいくつか。
 
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なんだかスペイン風いい男?
というのは不謹慎。聖職者です。
 
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エル・グレコと言ったら思い出す、縦ににょ~んと伸びた不思議な人物たち。
「無原罪のお宿り」というカトリックの教理を描いたもの。
イエス・キリストの母マリアが原罪を持たない聖なる方であるということです。
ちなみに、プロテスタントでは母マリアの無原罪を否定します。つまりふつーの立派な女性ということ。エル・グレコの時代は、宗教改革に対抗してこういうカトリックの教義をわかりやすく絵画化することがあったようです。
縦長すぎる人物像は、礼拝堂などの壁面や祭壇に掲げられた絵なので、人が見上げたときの効果を計算してそうしたのだそうです。
本来美術館で正面から見るために描かれた作品ではないのですね。
しかし、ぶどうの房みたいなケルビム(天使みたいなの)とか、聖霊(白い鳩)から放たれた放射状の光がマリアの衣装を照らす様とか、まさに見えないものを視覚化した面白さ。
しかも見えないものであっても、あり得ないものではないと感じさせるリアリティー
そんなところが現代美術につながるように思います。
 
脂っこいスペイン料理で満腹になった気分。
でもせっかくだから、昼食はなんとなく近い所でイタリアンにしてしまいました。