ルドンー秘密の花園  ~岐阜侮るべからず~

先月のことになりますが、丸の内の三菱一号館美術館「ルドンー秘密の花園」展へ行きました。

オディロン・ルドンは前から好きで、展覧会も何度か見ています。
ルドンの伝記的なことは最近まで知られていなかったとか。
なぜか生後すぐにペイル・ルバートという田舎に里子に出され、病弱で孤独な少年期を過ごしたそうで、ルドンが不思議な生物を多く描いたのも、その田舎の環境と内向的に過ごした少年期とが影響しているようです。
20歳の時に植物学者アルマン・クラヴォーを知り、顕微鏡に見える世界と植物学の影響を受けた、と。版画を見るとよくわかります。

もう展覧会は終わったけど、一応HP↓

オディロン・ルドン(1840-1916年)は、印象派の画家たちと同世代でありながら、幻想的な内面世界に目を向け、その特異な画業は、今も世界中の人の心を魅了して止みません。なかでも本展は植物に焦点を絞った、前例のない展覧会です。当館が所蔵する《グラン・ブーケ(大きな花束)》は史上最大級のパステル画で、ドムシー男爵の城館の食堂を飾る装飾の中心として構想されました。本展では、同食堂の残りの15点の壁画(オルセー美術館所蔵)と合わせ一堂に会する、貴重な機会となります。また、出品作およそ90点のうち大半は、オルセー美術館ボルドー美術館、シカゴ美術館、プティ=パレ美術館(パリ)、フィリップス・コレクションなど海外の主要美術館の所蔵作品により構成する、大規模なルドン展となります。


グラン・ブーケを見たのは初めてで、それはそれは美しい絵でした。

ルドンを改めてじっくり見ると、意外と突っ込みどころのある画家で、デッサンなどはあまり気にしない人だったような。
グラン・ブーケも美しいパステル画ですが、ルドンらしい青い花瓶の形がなんとなくヘンにみえるし、真ん中にささったひまわりみたいな花の茎も、この絵の大きさからすると、電柱くらいになってしまうかも。
なんて、突っ込みたくはなるのですが、それでも妖しく美しいことに何の傷にもなりません。

ドムシー男爵の城館の食堂の壁画がほぼ再現されていたのも興味深く見ました。
ルドンが下絵をデザインした椅子などもあり、織物になるとルドンのはかない線は失われますが、デザインとしては面白く、ステキな椅子でした。
こんなのが揃った食堂って、すごい・・・
壁画であるからでしょう、グラン・ブーケ以外は黄色が基調で明るい色使いです。
装飾的な、実をつけたナナカマドの枝がならんだ絵なども、デザインとしてきれい。

今回は、ルドンと言えば思い出す、あの独特の版画も多く展示されていました。

気がついたのだけど、岐阜県立美術館から来た作品がいくつもありました。

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この「眼をとじて」も、岐阜県立美術館所蔵。
目玉の大好きなルドンですが、眼を閉じた表情もルドンらしい。


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この『夢の中で』の「孵化」も、岐阜から。
『起源』『陪審員』『悪の華』のリトグラフ岐阜県美術館から来ていました。


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目玉とか、首だけとかを多く描いたルドンの「オルフェウスの死」
竪琴の音がきこえそうな、残酷な・・・静かな・・・
この晩年の作品も岐阜県立美術館蔵。


三菱一号館美術館には、大物「グラン・ブーケ」が門外不出(保存上動かせないらしい)で所蔵されていますが、岐阜にも良い作品がたくさんあるではありませんか。

行ったことなかったけど・・・

今年岐阜に行く予定があるのです。
10月下旬、というか日も決まってるのよね、ジェフのアウェイ戦。
また古い町歩きをするつもりでしたが、これは県立美術館にも行きたくなった・・・
長良川のスタジアムはあまり魅力的ではないように見えるけど、うむ、岐阜侮るべからず。



というのが今回のルドン展の感想・・・って、なんか間違ってる?