バッハ・コレギウム・ジャパン 昇天祭オラトリオ(第149回定期演奏会)
色々写真も溜まっていますが、まずは直近のことから。
5月22日、日曜日。
初夏のカンタータ〜昇天祭オラトリオ〜
第149回定期演奏会
教会カンタータ・シリーズ vol. 80
2022年 5.22(日)15:00~
東京オペラシティ コンサートホール
J. S. バッハ:
プレリュードとフーガ イ短調 BWV 543*
カンタータ第37番《信じて洗礼(バプテスマ)を受ける者》BWV 37
カンタータ第87番《今までは、あなたがたは私の名によっては何も願わなかった》BWV 87
昇天祭オラトリオ《神を讃えよ、その諸々の国において》BWV 11
指揮:鈴木雅明
ソプラノ:松井亜希
アルト:久保法之
テノール:櫻田 亮
バス:加耒 徹
オルガン:鈴木雅明*
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
初めに鈴木雅明さんのオルガン演奏から。
前奏曲はちょっと入りにくかったけど、フーガになるとこっちの調子も上がり、最後の足鍵盤のソロの重厚な音ですっかり気分は盛り上がり、次のカンタータ第37番へ。
今年の昇天祭は5月26日(木曜日、必ず木曜日に行う)、昇天祭用の2作品37番「信じて洗礼(バプテスマ)を受ける者」、第87番「今までは、あなたがたは私の名によって何も願わなかった」が、今回演奏されました。
ところで昇天祭、なんのこっちゃ?と思う人もいるかもしれません。
教会音楽と言われているものですから、当然聖書に基づいた作品です。
イエス・キリストが十字架につけられ、死んで墓に葬られましたが、旧約聖書から預言され、イエスご自身も預言されていたように、3日目に蘇り、墓を破って、まずは従ってきていた女性たちに、次に弟子たちに、40日にわたってその姿をお見せになりました。ただ幽霊のように見えたというのではなく、十字架で受けた傷も見せ(「触ってみなさい」と言われた)、ともに食事も摂られて、次に来る「聖霊」について預言しました。
復活して40日後にイエスは天に昇ります。
それを祝うのが昇天祭。
鈴木雅明さんも言ってたけど、ペンテコステ(五旬節、聖霊降臨日)のお祭りはなぜないのでしょうかね?
今回のプログラムに雅明さんが面白いことを書いています。
イエスは扁平足ではなかったか?ですって。
私の父が見事な扁平足で、歩き方も走り方もドタドタしててみっともなかったので、扁平足の印象、悪いんですけど。
プログラムにあるデューラーの「イエスの昇天」、イエスはすでに天に登ろうとしていて脛から下くらいしか見えません。
岩の上にある足跡を見ると、確かに土踏まずがない…
天に上げられ、もう土を踏む必要のなくなったイエスの足は、赤ん坊のように扁平で柔らかいのでは、という言葉で雅明さんは文を終えています。
なるほど〜
肝心の音楽について書く前にまた長々と…
「信じて洗礼を受ける者」、復元されたバイオリンのソロが素敵でした。
聖書の物語というより、全体に信仰告白の言える歌詞です。
バスのアリアでは、加耒徹さんの相変わらず良い声を聞きながら、頭のどこかで「5失点、5失点」と聞こえてきた(たいていの人はわからない)…というのはナイショ。
ワタクシ、切り替え下手なので。
「今まではあなたがたは私の名によっては何も願わなかった」、アルトの久保法之さんが透明感のある素晴らしいアリア。天上に届くような…
この日は久保さん大活躍。
休憩を挟んて
「昇天祭オラトリオ『神を讃えよ、その諸々の国において』」
夢中で聴いていたら、あっという間に終わってしまいました…
トランペット、ティンパニが入ってとても賑々しく、祝祭的な音に。
楽しい。
しかしイエスと別れなければならない弟子たちの悲しみも、バスのレチタティーヴォで、歌われます。
続いてアルトのアリアで…別離の悲しみが深く迫ります。
テノールのエヴァンゲリストが復活のイエスに会い、昇天を見て将来の希望を知り、喜びに満ちた弟子たちについて語り、ついで歌われるソプラノのアリアも美しいものでした。
最後は再び來たもうイエスに強く期待して、このオラトリオは終わります。
満足して拍手しながら、また
5点も取られて、お金払って、拍手するのもちょっとばかりシャク…とチラッと頭に浮かぶも、バッハ・コレギウム・ジャパンだから。
アビスパ・コレギウム・ジャパンじゃないから、致し方ない。
なんてね。
雅明さんがおっしゃったように、楽しく良い気分で帰路についたのでした。