ミラノ・スカラ座 「リゴレット」~理不尽すぎるお話。

もう「着る毛布」にくるまって凌ぐほどの寒さが到来したというのに、なんだかグズグズしていて、記録しておきたいはずのアレコレがたまる一方。
で、これはまだ半袖で汗をかいていた9月の話。
夫が申し込んだ割引チケットが当たって(と言っても高い!)、渋谷はNHKホールに出かけました。
ミラノといえば、ACミランインテルプラダもありますが、まずはスカラ座。行ったことないけど。
出し物は「リゴレット」。
 
詳しくは↓
 
ヴェルディ・・・と言っても「一生青と赤」が大嫌いなあれではなく、オペラ作曲家のジュゼッペ・ヴェルディ、その生誕200年祭としてミラノ・スカラ座が公演していたものです。
もう一つの演目は「ファルスタッフ」でしたが、こちらは縁がなく今までナマで見たことがありません。
リゴレット」は、お話としては好きじゃないというか、あんまり理不尽過ぎて納得がいかない・・・
ただオペラというのは、美しい、あるいは雄々しい、あるいは恐ろしい、あるいは気高い、情熱や愛情や憎悪を歌い上げるための設定なら少々不条理でも理不尽でもちっとも構わないので、この「リゴレット」は、その最たるものとも言えるのでしょう。
 
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写真はNHKミラノ・スカラ座公演」のHPから借りました。ホントはいけないかもしれないけど、許して~
劇の冒頭、道化師リゴレットが仕えるマントヴァ公爵の宮廷の様子。
 
初めからとても不吉な呪わしい雰囲気が充満しています。
 
このお話でただ一人、あっけらかんと脳天気なのはマントヴァ公爵だけ。自分の浮気性はおいといて「女心の歌」を歌いまくる。
このマントヴァ公役ジョルジョ・ベッルージ、容姿は良いのですが、もう少しあっけらかんとした声だとなおピッタリだったのですが(ずいぶん前にビデオで見たパヴァロッティはピッタリだった)・・・「ボエーム」のロドルフォなどはいいかも。
そしてリゴレットに極端に似てない娘、ジルダはマントヴァ公爵に言い寄られてすっかり心を奪われ、彼への愛のために身を犠牲にしてしまいます。コロラトゥーラの澄んだ哀切な声がピッタリな役だけど、現代人から見るとあんなヤツのためになにも~と思ってしまう。
父親の罪を背負って、というところは日本の人形浄瑠璃や歌舞伎にも似ています。
 
お話としてはどうにも救われない気分になりますが(美しく優しく、情の深い若い娘が自分のために殺されたのに、マントヴァ公爵は何も知らず脳天気に歌う)、歌を聴く劇としてはよくできていて、特に今回はレオ・ヌッチという当代の「リゴレット歌い」を聴くことができて、よかったと思います。
1942年生まれですから、71歳!声にはやはり年齢が感じられますが、それでもリゴレットを450回以上も演じたというすごい人。確かにリゴレットなら逆立ちしても目をつむってもやれる、って感じ。十七代中村勘三郎の晩年の演技に影を加えたような雰囲気を感じました。
 
指揮はこちらは若いグスターボ・ドゥダメル
 
久しぶりのオペラ、楽しみました。