エルヴィオ・ソーヌス演奏会ウェッバー「レクイエム」ヘンデル「デッティンゲン・テ・デウム」
友人が所属している合唱団「エルヴィオ・ソーヌス」のコンサートは、毎年1月か2月の寒い盛りに行われ、何年か前には大雪で行くのを断念したこともありました。
今年はおそらくもう一週間後に日程がずれていたら、開催が難しかったかもしれません。
2月23日、東京オペラシティ。新型コロナウイルス対策で、各所に消毒用アルコールが用意され、スタッフはみなさんマスクをして、プログラム配布の人はポリ手袋もして、多少ものものしい雰囲気で迎えられました。
私もマスクをして携帯用除菌スプレーを持って、出かけました。
この時にはJリーグが延期になるなんて思わず、スタジアムより密室のコンサートホールはリスクが高いな、などと考えていました。
とはいえ、音楽が鳴り出したらそんなことは忘れ、楽しく過ごしたのでした。
友人が取ってくれた席が前から2列目だったので、オーケストラのメンバーとソリストの靴をじっと見るような角度。
指揮とアルトの青木さんの汗が飛んできそう…
始めにヘンデルの「デッティンゲン・テ・デウム」
去年このコンサートではヘンデルの「エジプトのイスラエル人」という大曲を演じ、それはなかなかの聞き応えでした。「出エジプト記」そのままに十の災いのところなどたいそう面白く、初めて聞いたので、へええへええ〜と感心の連続。
今回は短めの曲で、1743年にジョージ2世の戦勝祝賀行事で初演されたとか、デッティンゲンというところの戦いで勝ったのだそうで。
おめでたい席にふさわしく、明るく聴きやすい曲でした。ラテン語ではなく英語なのが、なんとなく不思議な感じだけど。
アンドリュー・ロイド・ウェッバーの「レクイエム」も初めて聴きました。
クラシックには全然詳しくないので、たいてい初めてなんだけど。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」とか「キャッツ」とか「オペラ座の怪人」の作曲者が書いたクラシックの曲なのだそうです。
「キャッツ」以外は見たけど、どちらもそんなに好きではない…お話も曲も。
どんなもんだろうか、と思っていましたが、果たしてなかなかに面白く聴きました。
特にはじめと最後にあるボーイソプラノのパートは、非常に耳に残り、哀切な思いを持って終わります。
いかにもミュージカルの作者らしい迫力あるところ、ゴスペルっぽいところなどもあり、飽きずに聴くことができました。
ウェッバーが「レクイエム」を描いた背景には、父親の逝去と、アイルランドのIRAのテロで友人が亡くなったこと、ポルポト政権下での少年の過酷な経験を知ったことがあるそうです。そういえば、U2が“Sunday Bloody Sunday"を含む”WAR"を発表したのもこの時期でした。
去年の12月5日に、この曲を彼らのライブで聴いたばかり。
ウェッバーのそういう痛みのこもった曲であることも、伝わってきました。
新型コロナウイルスが猖獗を極めるとまではまだいかなくても、それが迫っていることを感じる中、偶然ではありますが、この「レクイエム」を聞きながら、1日も早く静かに終息を迎えてほしいと、思ったことでした。