METライブビューイング「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」


特別クラシック音楽好きとか知識があるわけではないのですが、オペラはストーリーがあって気楽に見られる(気重なやつも多いけど)ので、好きです。
ただ、生は高い。
日本の歌劇団のも安くないけど、ウイーンやスカラ座やMETなど有名どころが来日すると、それはそれは高い。

新宿ピカデリーで上映されるMETライブビューイングはつい前の月あたりにMETで上演されたばかりの演目を、3600円で見られるので、映画と思うと高いけど、現地に行くとか来日したとき見に行くとかと比べれば、うんと安い。

主にバッハを歌う合唱団に入っている友人が、オペラも見たい~と言うことで、3回ほど見に行きました。

ルネ・フレミングが未亡人ハンナを演じる、レハールの「メリー・ウイドウ」。
ロッシーニ歌いの揃った「湖上の美人」。
そして、マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」、レオンカヴァルロ「道化師」、ヴェリズモオペラの2本立て。
これで1シーズン終わり、また秋に何本か公開されるそうです。

ワタクシも上記3本、初めて見たものばかり。
「メリー・ウイドウ」の「ヴィリアの歌」とか「メリー・ウィドウのワルツ」とかは聞いたことはあったけど。
レミングがちょっと年取ってるけど、オトナの魅力たっぷり。
背景に小国自立の悩みなどもありますが、基本的にはオトナの恋愛騒動を楽しく見られる。

ロッシーニは結構好きで、あの歌手いじめかと思うようなアリアも、見る方は楽しい。
湖上の美人」もそうでした。
お話は例によってちょっと強引に「王様、人が良すぎないですか~」と言いたくなる急展開でハッピーエンド。
美女とズボン役の(おあつらえ向きにデッカい人)騎士が結ばれる。
最後はヒロインの美女、エレナのこれでもか、というロッシーニ的アリアでめでたく終わります。

そして、シーズン最後は「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」の2本立て。
マルセロ・アルバレスが二役。
どちらも現代ならワイドショーネタになりそうな、「恋愛関係のもつれからの殺人事件」。
2作品ともデヴィッド・マクヴィカーの演出。
わたしは前述のように、この2作も初めて見たので、通常どのような演出がなされるのか知りません。
このMETでの演出で見た印象としては・・・
「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、イースターの日に起きた事件で、キリスト教的な倫理観がベースにあると思います。
暗く、重い感じ。
何度聞いても「トゥリッドゥ」って名前が覚えられない・・・のはともかく、ひでー男、と思ったけど、最後はかわいそうなことに・・・彼を死に至らしめるサントゥッツァも、あまり賢いとは言えないけど、多くのオペラに限らず、小説も映画も演劇も、人間の、愛憎からくる愚かさは大きなテーマです。

「道化師」の方は、同じシチリアを舞台にして、もう少し時代が今に近くなり、コケティッシュな人妻の不倫騒動。
振り回される男たちが起こす悲喜劇ですが、こちらは溝口か成瀬か映画にもありそうなお話です。
湖上の美人」ではナビゲーターで出ていたパトリシア・ラセットのコメディエンヌぶりがとても面白い。
2作とも「ヴェリズモ」と呼ばれるリアリズム文芸運動の典型だそうです。

演じる方としては、葛藤の多い複雑な感情を持ったこの2作のような役は、演じがいがあるでしょう。
見る方は、楽しいってオペラではないけど、とても面白い。


配役とか指揮者とか書くのが面倒なので、興味あるむきは、これをごらんあれ↓




秋に新シーズンになります。