こんな時には家で映画でも〜「アランフェスの麗しき日々」
これは恵比寿ガーデンシネマで見ました。
夫が見ていなかったので、Amazon primeで。
アランフェスの麗しき日々
ヴィム・ヴェンダース監督
2016年制作
filmarksの記事を借りると、
100%思いのままに撮った生涯で初めての映画だ―ーヴィム・ヴェンダース
ルー・リードの名曲『パーフェクト・デイ』とともに映し出される無人のパリ やがてカメラは、柔らかい夏の風が吹く木陰のテラスへ… 巨匠ヴィム・ヴェンダースが、盟友ペーター・ハントケの戯曲を映画化、『ベルリン・天使の詩』以来となる二人の5本目のコラボレーション。ヴェンダース最新作にして初のフランス語作品。主演は、『ヒポクラテス』で、セザール賞助演男優賞を受賞したレダ・カテブと、ヴェンダース映画は『愛のめぐりあい』に次いで2本目となるソフィー・セミン。
確かに「ベルリン天使の詩」あたりでご大家主義みたいな批判を浴びた頃からしても、既に老境にある高名な監督が、好きなように撮った作品であると感じます。
ヴェンダース好きなこともあり、わたしは初見から楽しく見たのですが、いくつかのサイトに投稿された感想を見ると、何だか散々な評価に…
そうですかねえ。
冒頭の美しさ、ラストシーンの美しさはさすが。
まず作家の手により、時代物のジュークボックスが動き出し、ルー・リードの「パーフェクト・デイ」が流れる。
作家はデスクのタイプライターの前に座って、少し憂鬱な感じの視線を向けると、流れるようなパスワーク、じゃなかった、カメラワークで庭にいる二人の男女が映し出される。
彼に促され彼女が語り出す。
ペーター・ハントケの原作は読んでいないのですが、二人のセリフ、それぞれモノローグのような語りは、おそらく原作が生かされているでしょう。
初めのうちはほとんど動きがなく、それは、二人の間で…つまり作者が作った…ルールがあり、話に動作を入れない、はい、いいえだけではダメで何か話をつなげる…などがあるから。
後半男が語り出すと少し動きが加わるのですが、わたしには前半の女の話の方が印象に残りました。
あ、野菜の話は面白かった…
でも、その話をここに書いても無意味。
老境の作者が好きなように作った映画としては、ゴダールの「JLG自画像」もそうだったと思います。
こちらは題名通りで、内容はかなり違いますが。
どちらもたいそう美しい映像だったことは同じ。
2度目に見て、二人の語りは最初に持った印象と変わらなかったけど、作家がジュークボックスでかける音楽、そして途中に登場して作家のうちでピアノを弾きながら歌うニック・ケイブ、その音楽の美しさがより強く感じられました。
いわば作中の男女二人は作られた言葉を語っていて、それはそれで面白いのだけど、音楽の言葉はもっと血肉を伴った鮮やかさがあるような…
最後に、映像と音楽は、セザンヌのおそらく「サント・ヴィクトワール山」の絵に収斂されていくのも印象に残るシーンです。
そういうわけで、ヴァンダースなどはとても安心して見られます。