家で映画でも〜「ドッグマン」

ブンデスリーガリーガエスパニョーラに続き、イングランドPLも再開されました。

アーセナル・マンCを見たら、始まらんでもよろしがな、と思ってしまいましたが、ヴィラ・シェフィールドUは、面白かったです、いろんな意味で。

来週末からはJリーグも再開するので、映画見る時間がなくなる〜

しかも、うだうだと過ごしているおかげで、レヴューを書いていない映画が溜まっとります。

まずはこれを片付けなくちゃ。

 

「ドッグマン」

マッテオ・ガローネ監督

2018年の制作

 

ゴモラ」などで知られるイタリアの鬼才マッテオ・ガローネ監督が、1980年代にイタリアで起こった実在の殺人事件をモチーフに描いた不条理ドラマ。イタリアのさびれた海辺の町。娘と犬を愛する温厚で小心者の男マルチェロマルチェロ・フォンテ)は、「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを経営している。気のおけない仲間たちと食事やサッカーを楽しむマルチェロだったが、その一方で暴力的な友人シモーネ(エドアルド・ペーシェ)に利用され、従属的な関係から抜け出せずにいた。そんなある日、シモーネから持ちかけられた儲け話を断りきれず片棒を担ぐ羽目になったマルチェロは、その代償として仲間たちの信用とサロンの顧客を失ってしまう。娘とも自由に会えなくなったマルチェロは、平穏だった日常を取り戻すべくある行動に出る。主演のマルチェロ・フォンテが第71回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を獲得したほか、イタリア版アカデミー賞と言われるダビッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞・監督賞など9部門を受賞した。

(いつもさーせん、映画.comより、カッコ内の俳優名だけわたしが)

 

 

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いつも夫婦で映画を見ていますが、たまに好みが分かれる作品があります。

夫は、これを気に入ったのですって。

わたしは、この映画は苦手だなあ…

 

冒頭のシーンから、わたしなんか目を逸らしたくなる荒々しさ…

犬のトリミングサロン、という割にはなんか殺伐としていて、日本で見るような可愛いお犬ちゃんサロンとはかなり違う。

わたしはてっきり薬殺するのかと思っていきなり何よ、と焦ったのですが、何のことはない、おっかない大型犬を鎖で保定して洗うところでした。大型犬は怒って唸り、暴れて体を柵にぶつけるので、太くて大きな鎖で繫いで、シャワーを浴びさせるのでした。

何か禍々しいような恐ろしいような迫力のあるシーンから始まります。

このシーンがお話の先行きを暗示していて、禍々しく感じたのは、監督からすると導入に成功したことになります。

 

このGigiブッフォンをう〜んと小さくしてう〜〜んと情けなくしたようなマルチェロが主人公。

そしてマルチェロを取り巻く環境は、やはり禍々しいような寂れた海辺の街。

この海辺をガローネ監督は気に入っているそうですが、確かに殺伐とした感じ、ザラザラした感じがよく伝わります。

この街の嫌われ者がシモーネという、バカでかい男で、暴力に訴えて好き勝手に振る舞っています。みんな怖いから面と向かってシモーネに逆らうことはできない。

小心者のマルチェロは、シモーネにパシリにされて、彼の悪事にも加わっています。

このマルチェロとシモーネの関係が謎で、共依存とでもいうのか、普段からマルチェロはコカインを入手してはマルチェロに貢ぎ、自分も「いいだろう、上物だよ」とか言いながら吸引している。

シモーネはマルチェロが彼に従属するのを当然のように思っている。

 

と、書くと二人とも若者かと思われるかもしれませんが、マルチェロはいい年したオジさんです。

寂れた街のドックサロンもきっと苦労して手に入れたのでしょう。

彼には別れた妻の間に娘がいて、時々遊びにくるその娘を溺愛しています。

娘はシュノーケリングが大好きで、父親にねだっては連れて行ってもらいます。しかも、今度はセイシャルだかモーリシャスだか忘れたけど、どこか遠くのシュノーケリングの名所に連れて行って、とねだっている。

父としては何とかして娘の希望を叶えてやりたい。

 

しかしシモーネの悪事(街の友人の店の金庫破り)に加担したことで警察に捕まり、そこが運命の分かれ道。

検事の言うように、シモーネの犯罪を暴いたら、マルチェロは無罪放免、街の人たちもきっと大歓迎、何も言わなければそのまま1年の豚箱行き。

どう考えてもそもそもその悪事を計画したのはシモーネで、マルチェロはパシリに過ぎないのだから、前者を選ぶ、はず。

ところが。

何とマルチェロは自分が刑務所へ行く方を選ぶ。

 

微罪なので1年後出所すると、街の人からは裏切り者呼ばわりされ(その一面もある)、サロンも経営できなくなってしまう。

そして、のこのことシモーネの家へ行き「分け前を受け取りに来た」と言うと…

当然ながら、そんなもんねえよ、と軽くあしらわれ、逆にボコボコにされてしまいます。

 

何だかしょうもないおバカさんだと思うのだけど…

娘のために多少の向上心もあり、トリミングのコンテストに出て入賞したりしていたのに…

 

しかし、小心者を怒らせたら怖いですよ。

 

 

大好きな犬のためのサロンがうまく行かなくなったのは無論、彼は娘のためにお金が欲しかったのです。

それがシモーネに拒否され(1年間も取っておくはずないし、どれだけ奪ったかもわからない)、マルチェロは怒り心頭に。

小心者マルチェロの逆襲が始まる。

わたしにはキモくて…

 

ラストの何というか放心状態、脱力感、寂寥感、そしてあるとしたら多少の達成感、その感じはスピルバーグの劇場第1作「激突!」(アメリカではTV映画だったそうですが)のラストに少し似ています。

「激突」は、スピルバーグがあまり好きではないわたしとしては、好きな作品に入ります。

スピルバーグの方は、相手は正体不明のトレーラーでしたが、こちらはよく知っている悪友ですから、生々しさは「ドッグマン」の方が強い。

 

終始神経を逆撫でされるような映画でした。

怖いからつい最後まで見てしまったけど…