家で映画でも〜「隣の影」

「家で映画でも」史上、初の録画消去作品です。

Amazon primeで見る他は、BSで録画したものを見て、DVDに落としています。

が、たまにこれはもう2度と見ない…というのもあり、今回のがそれ。

 

隣の影

ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン

2017年アイスランドで制作

 

なぜこれを見たかといえば、アイスランドって、よく知らない国だからどんな映画があるのか、映画にアイスランドのどんなことが反映されているのか、興味があったから。

 

アイスランドといえば。

 

わたしが知っているのは、サッカーのナショナルチムがユーロで旋風を巻き起こしたこと、その際に「バイキング・クラップ」と呼ばれる手拍子で知られるようになり、G大阪が真似し始めたこと、ナショナルチームの中心選手グンナル・シグルゾソンは、エバートンの選手(スワンズのイメージも強いけど)、ほぼ全員○○ソンという名前…

あとは、アイスランドデンマーク人芸術家オラファー・エリアソンくらい。

 

この映画の監督もエバートンのMFと同じ名前。

 

原題は"Under the tree"で、こっちの方が良いと思うけど。

 

些細な隣人トラブルの連鎖から人々が暴走していく様子を描いたアイスランド発のブラックサスペンス。閑静な住宅地で暮らす老夫婦が、隣家の中年夫婦からクレームをつけられた。老夫婦宅の庭にそびえ立つ大きな木が、いつも日光浴をするポーチに影を落としているというのだ。それをきっかけにいがみ合うようになった2組の夫婦は、身近で相次ぐ不審な出来事を全て相手の嫌がらせだと思いこむようになる。妻に追い出されて老夫婦のもとへ転がり込んできた息子も、庭のテントで寝泊まりして隣人の監視を手伝う羽目に。やがて老夫婦がかわいがっていた飼い猫が失踪したことから、両家の人々は越えてはならない危険な一線を越えてしまう。アイスランドアカデミー賞と言われるエッダ賞で作品賞、監督賞など7部門を独占。日本では「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018」国際コンペティション部門に「あの木が邪魔で」のタイトルで出品され、監督賞を受賞した。

(映画.comより)

 

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この映画、つまらないとか退屈とかいうのではなく、不愉快。

いや〜な気分にさせられます。

なので、いや〜な気分になりたい人にはお勧めしますわよ。

 

冒頭、ベッドから抜け出した夫が、PCに取り込んである元カノとのアラレモナイ映像を見ながら、何やら怪しい仕儀に及ぶ、それを妻に見つかり、夫が元カノとまだそんな関係を続けていたかと、妻は怒り狂う。そして、うちを追い出され、両親の家に転がり込む。

その夫婦の話かと思ったら、舞台は、両親の家とメゾネット風につながっている隣の家なのでした。

 

初めのうちは、よくあるご近所トラブルの話でした。

追い出された夫の両親の家の庭にある大きな木が、隣の庭の影になるから切って欲しい、と言われたのが発端。

日本でもよく聞く話です。

で、お父さんは切ってやるつもりで植木業者を呼んだりするのですが、お母さんと隣の若奥さん(中年男の2番目の妻で、若い子をうちに入れたのも隣のお母さんは気に入らない)が話をだんだんこじらせていって、業者も断ってしまう。

お母さん役の女優さんの演技は、かなりのホラーで、怪演です。

長男が失踪してしまって以来、精神が不安定で、見るからにそういう様子。

このお母さんの、時に放心したような思い詰めたような苛立ったような表情、見ている方も不安にさせられます。

お互いの夫はそれでも少しは事態を悪化させないようにしているのですが、隣の若妻も人工授精でストレスが溜まり、お母さんはそういうわけで何を見ても悪くしかとれない、女同士がややこしくしていき、男が巻き込まれていく。

お母さんの飼っていた猫が失踪してからは、もうエライことに。

隣が猫を何処かに捨てたのだと信じているお母さんは、隣が可愛がっている犬に対して、言うも恐ろしい所行に及びます。この辺がわたしの許容範囲を超えている…

もうここからは犯罪。

 

そして誰もいなくなった

 

ではなく、一番メンタルが傷んでいたお母さんだけが残る。

 

そして、外を放心したように眺めていると、お母さんの猫が…

絶対そうだろうと思ったよ、猫は時々いなくなるから。でもお母さんの反応は映されず、猫がトコトコ帰ってきたところで終わります。

 

 

ご近所トラブルの域を超えてしまった。

日本でも、上のうちの音がうるさいとかで刃傷沙汰になることがありますけど。

お母さんの心が病んでいるまま放置していたようなお父さんも息子もどうにかできなかったのか?

一番病んでいたのはお母さんですが、登場人物誰もが多かれ少なかれ病んでいました。

 

なんかやな映画だったね…

と、終わって振り返ると、この映画は日本の映画祭ではホラー部門で公開されたらしい。

作品中に、その大きな木の葉影が時々ザワザワと映し出されます。

そうか、この大きな木が、切ってしまえと言った隣のうちと、最初は切ってしまいそうだったお父さんを呪って、人間どもを操って殺し合いさせたのかもしれない。

お母さんだけ無事だったのは、木を切ることには反対だったからか?

木の呪い、とすればホラーです。

黒い葉影が、禍々しく見えなくもなかった。

 

と言っても、もう2度と見ないから。

 

アイスランドのイメージが下がってしまった…

どこの国にも、ご近所トラブルがあり、どこの国でも…女性の地位は日本のそれよりはるかに高いアイスランドでも…女性にもストレスがあり、乱暴な解決方法をとることもある、という普遍的なことがわかりました。