ゴダール・ソシアリスム

 
 
 
 
イメージ 1
久しぶりに映画館で映画を観ました。
ゴダール80歳!の新作「ゴダール・ソシアリスム」
比べるのもナンですが、ウチの酔っぱらいおじじはゴダールとだいたい同世代、若い頃は社会主義者を自称していましたが、今や外国債だの株だの危なっかしい資産運用に熱心。青年の頃に抱いた「社会主義」の理想とはいったい?
それはともかく、80歳のゴダールゴダールに相違ありません。
 
わたしはいろいろオンチの中でも実はヌーベルバーグオンチで、かの時代に登場した作家の多くにさほど共感しないクチなのです。ヌーベルバーグといえど様々な作家がいますが、トリュフォーにしても熱烈に愛する人がいるのに、わたしはさほどでもない。
そうだ、詳しくはないけどアラン・レネは好きです。
で、信奉者の多いゴダールですが、リアルタイムではいくつかの作品は観ましたが、あまfり興味がわかず。
以前も書きましたが「ワン・プラス・ワン」はストーンズが出るので観たのでした。
 
 
しかしずっとトシとってからゴダールを観ると、これが面白いではないですか。
でも相変わらず苦手なところはあって、ゴダールの作品では人がたやすく死ぬのです。
たとえば、ベルイマンの作品では人は苦しみもがくけど容易に死なないのです。
好みの問題ということでしょうけど、わたしは苦しみもがきつつなかなか死なない方が共感します。
トシをとるといいことは、若い頃より許容範囲が広がるのですな。
そして鈍いワタクシもゴダール作品の登場人物があっけなくまるで無意味に死んでしまうことに、ゴダールの示唆するものがあると気がつくと、その文脈で観れば多くの死者にも我慢できるようになりました。
またゴダールの映像はすばらしく美しいので、あれこれ小難しいことは置いても、それだけで楽しめます。
最近のものでは「JPG」が好きで、これは本当に美しい作品です。
 
さて、この最新作。
やはり美しいことには変わりありません。
3部構成になっていて、ゴダール好きは第1楽章が良いというのでしょうか。
わたしは第2楽章が好きです。
第1,第3楽章よりゆったりしたテンポで進む、家族物語のようにも見えます。
写真の少年もすばらしく綺麗ですが、ゴダールらしい美しくてナマイキな少女が登場します。
 
第1,第3楽章は地中海を航海する船の中が舞台になっているので、フェリーニの遺作「そして船は行く」を思い出しました。評価しない人もいますが、わたしはこれが大好き。
ゴダールの船もじゅうぶんに映画的ではありました。
第3楽章になるとお得意の引用にわたしの知っていることばや絵がよく出たので、知っていても知らなくてもいいのですが、パレスチナ航行のあたり面白かったです。
 
この作品をゴダール作品の中でどう位置づけるかなどは、わたしには手に余るのでヨソの記事をご覧あれ。
 
そうそう、これは日比谷のシャンテシネで上映されていますが、客層がなんとなくいつものシャンテと違う感じ。
昔映画青年だった風のオジサンオバサンとか、現在映画青年です風の青年とか。若い彼らの風体まで昔と同じようなので、ちょっとびっくりしました。