こんな時には家で映画でも〜「殺しの烙印」
なんかすごいの見ちゃいました。初見です。
殺しの烙印
鈴木清順監督
1967年制作
出来上がったフィルムを見て、当時の日活の社長が、カンカンに怒り、「訳のわからない映画を作ってもらっては困る」と社員の前で批判して、鈴木清順との専属契約を解除したという、曰く付きの作品。
封切りされた時には、若いファンには熱狂的に支持されたということですが、すぐに打ち切られて、しかも自主上映までも日活に拒否されたとか。
今見ると、そこまで怒る理由がよくわからないのだけど…
主演は宍戸錠、敵役のNO.1の殺し屋が南原宏治、妻?役が小川万里子、敵役で恋人に真理アンヌ。
脚本は大和屋竺という、わたしはよく知らないのだけど、当時の曲者に違いない。
良い子は絶対に見ちゃいけない映画です。
「ツィゴイネルワイゼン」などのその後の鈴木清順を知っている者としては、この作品を見ても、そんなにびっくりはしないのです。
ただ、当時は色々物議を醸したのもわからないではありません。
何しろ、妻らしき女は、全編裸なんですわ。
彼女、宍戸錠扮する花田といつでもする用意があるようで、洋服は必要ないらしいです。
封切り当時は、こういうシーンには、真っ黒なベタが塗ってあったそうな。
そりゃ1967年ではそうでしょう。
今見てもなかなかすごいです。
でもそういう映画というわけではなくて、いわばギャング映画になるのか。
話は「訳のわからん」ことはなく、単純で、ある組織に属する殺し屋が、殺し屋ランキングを争い、殺しを失敗すると、ランクダウンし、殺される。
謎のランキングNO.1に狙われ、最後はボクシング場みたいなところで一騎討ちとなります。
NO.1もちっとも謎でなく、見てるとああこいつね、とすぐわかるのだけど。
花田というのは、そんなにスーパーな殺し屋ではないようで、N0.1の影に怯え、そのプレッシャーに神経もやられる。
しかし最後は窮鼠猫を噛む、という展開に。
女殺し屋の真理アンヌがかなりブキミ。
こちらは洋服も必要だけど、何度かお脱ぎになりました。
話は殺し屋ランキングとか、ちょっとアホらしいくらいのものですが、映像のスタイリッシュなこと、花田という殺し屋の欲情や、焦燥や、真理アンヌや小川万里子の演技(うまいというのではない、怪演)、後年の鈴木清順の美的センスを感じさせるシーンなど、見どころは色々。
鈴木清順の世界に入っていけないと、何やこれ?と、なる映画ではあります。